野球の技術解説

世界的に流行中!現代の魔球「ツーシーム」とその軌道について〜シュートとの違いは何か?〜

世界的に流行中!現代の魔球「ツーシーム」とその軌道について〜シュートとの違いは何か?〜

野球における変化球は色々な種類があり、その中で魔球に近い変化球としては「ナックルボール」があります。

ナックルボールについては、以前本サイトでも記事を作成しています。

あわせて読みたい
現代の『魔球』ナックルについて・ナックルボーラーを特集
現代の『魔球』ナックルについて・ナックルボーラーを特集[ad#co-2]変化球は様々な種類があり、近年は既存の変化球をベースとした新しい変化球も続々と登場しています。...

ナックルボール以外にも魔球に近いと思われる変化球は多くあります。

その一つだと思われるのが、「ツーシーム」です。

かなり以前から存在していたと思われますが、名前とともに近年定着してきた印象のある変化球だと感じます。

ツーシームというとシュート系(シンカー系)の変化球と認識している人がいますが、厳密にはそれは誤りです。

しかしピッチャーで、ツーシームを投げる選手以外はその球種としての特徴や、長所・短所については明確に理解していないと思います。

打者でもツーシームの特徴を理解していることは無駄ではないと考えます。

よって本記事ではツーシームの紹介をすることで「分かったようになっている」部分を明確にしたいと思います。

ツーシームとは

正式には「ツーシーム・ファストボール」と呼ばれますが、一般的には「ツーシーム」と呼ばれます。

対照的に通常の直球は「フォーシーム・ファストボール」と呼ばれ、こちらは一般的に「フォーシーム」と呼ばれます。

ツーシームの特徴は、フォーシームは一回転する際に縫い目が4回通過するのに対し、ツーシームは握るボールの向きを90度変え、一回転する際に縫い目が2回通過することです。

投げ方はフォーシームもツーシームも同じでありボールの握り方にしか差異がないことから、バッターが見分けにくいといったメリットがあります。

また、変化の幅が小さいことからバットの芯を外しやすいこともメリットになります。

フォーシームと同じフォームであることから、習得も用意な変化球であり、体への負担も少ないと考えますが、スピン量を減らす為に握りを深くするなどすることでリリース時に力が入ってしまうと肘等への負担が増える傾向であるため注意が必要です。

原理、ツーシームの軌道

通常のフォーシームに対し、スピンの回転数を落とし、揚力を減らすことにより変化させる変化球になります。

なお、この際スピン軸を変えることで、「直球に近い球速を出す」ことや「横方向の変化を増やす」ことや「縦方向の変化を増やす」ことができます。

そういった特徴もあり、投げるピッチャーにより球質や変化が全く違うことがあります。

またツーシームのスピン軸を調整することや、握りの深さでスピン量を調整して投げ分けるピッチャーも存在します。

比較的容易でありながら、調整範囲があり、自分の武器を見つけやすい点も、持ち球とする選手が近年多い理由かもしれません。

またメジャーの公式球は縫い目が高く変化が大きくなりやすいことから、フォーシームと同じ軌道・速度のツーシームでも変化が大きくなりやすく、これもメジャーでツーシームを投げるピッチャーが多い理由と言えるかもしれません。

シュートとの混同

一般的なツーシームは投手の利き腕方向に変化する傾向があります。

よってシュートと混同されることが以前からありました。

これは、今で言うツーシームもその変化から、周囲の人間が「シュート」と言ったり、投げている本人が「シュート」ということがあったことに起因しています。

例えばシュートを投げる有名な選手としては元ヤクルトの川崎憲次郎選手や、元巨人の西本聖選手がいますが、この二人が投げているのも現在の基準だとツーシームになります。

よって現在では明確に区別されていますが、その境界線は曖昧であると思います。

投げ方や呼び方にルールがあるわけではないので、知っておいて損はないですが固執するべき点でもないと考えます。

投げる選手

プロ野球でも近年ツーシームを投げる選手が増えてきたように思います。

理由は、その有効性が有名になったこと、メジャーで多用されていること、シュート系がツーシームと括られるようになったことがあげられるかと思います。

本項では、筆者の独断で代表的だと思うツーシームを投げるピッチャーを三人紹介したいと思います。

◆黒田博樹

黒田選手は1996年ドラフト2位で広島東洋カープに入団。

今のように強くはなかったカープをエースとして支え、投手タイトル獲得(最多勝利’05、最優秀防御率’06)、毎年のように180投球回以上投げる活躍の後、渡米しロサンゼルス・ドジャースに入団し活躍。

更にニューヨーク・ヤンキース移籍後も活躍しますが、ドジャースやバドレスのオファーを固辞。古巣カープに復帰し、チームを優勝に導くと、2016年限りで引退しました。

メジャー移籍前は直球(フォーシーム)とフォーク、スライダーを投げる投球でしたが、移籍後はツーシームを主体とした「打者の狙い球を投げて、打たせて取る」投球にモデルチェンジ。

「ツーシーム系を内に、スライダー系を外に、フォークで高低をつける」投球でメジャーでも活躍しました。

メジャーでは7年間で通算79勝79敗となっていますが、援護がすくなかったこともあり、防御率は日本での3.55に対し、3.45と改善させています。

カープでの最後の2年間も連続二桁勝利をあげており、ツーシーム主体へのモデルチェンジで得られた好成績と息の長い現役生活であったと言えるかもしれません。

◆田中将大

2006年にドラフト1位で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団し、数々の投手タイトルを獲得するなどし活躍。

特に2013年に記録した24勝0敗、勝率1.00はプロ野球史上初の大記録となりました。その後はニューヨーク・ヤンキースに移籍。

5年間の在籍で毎年二桁勝利をあげるなど活躍しています。

田中選手はスプリットが有名ですがシンカーも有名です。

このシンカーを田中選手はツーシームと呼んでいます。フォーシームに近い球速にも関わらず沈みながら利き腕方向に変化することが特徴です。

この球で右バッターの内と突き、スライダー(カットボール含む)で左バッターの内をしっかり付けることで、よりスプリットを効果的にしていると考えます。

◆山崎康明

「ナックル」の記事でも説明した山崎選手ですが、横浜DeNAベイスターズ入団一年目から守護神を任され、「小さな大魔神」と呼ばれる球界を代表する押さえのピッチャーです。

ツーシームを決め球としていますが、一般的なツーシームとは違い、落差の大きい落ちる変化が特徴です。

その変化からスプリットに間違えられることもありますが、れっきしとしたツーシームになります。

なおソフトバンクの東浜巨選手、カープの薮田選手など亜細亜大学出身者のツーシームは同様な変化をすることから「亜細亜ツーシーム」と呼ばれることもあります。

ワンシーム

冒頭でツーシームは球が一回転する間に縫い目が2回通過する球と説明しました。

その派生としてワンシームも存在します。

ワンシームは縫い目に沿って指を並べて握ります。

縫い目に指をかけないことから回転数もでにくく、揚力も少なくなることからツーシームよりも変化が大きくなり易いことが特徴です。

具体的には沈み量が大きくなる傾向があります。

日本では巨人の菅野投手等が持ち球としています。

デメリットは、縫い目に指をかけていないことから、握力と必要とすること、またそれに起因して肘等への負担が増えること、コントロールが難しいことです。

投げ方はフォーシーム・ツーシームと変わりないとされていますので、興味のある方は挑戦してみてください。

まとめ

本記事では近年投げるピッチャーの増えているツーシームについて説明しました。

まとめると下記になると思います。

  • ツーシームはストレートほぼ同じ軌道・速度の変化球
  • ツーシームはフォーシームより揚力が少ないことで変化する
  • ツーシームはいろいろな変化があり、またそれぞれは調整可能

ストレートとほぼ同じ投げ方であることから、気軽に試すことが出来、体への負担が少ない変化球とも言えるため習得する価値は大いにあると思います。

上記のまとめでも説明しましたが、「これ」といった決まった変化も無ければ握り方もありません。試行錯誤し、自分のツーシームを見つけてもらえればと思います。

最後に、黒田選手の活躍とともに、外角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる「バックドア」、内角のボールゾーンからストライクゾーン似入ってくる「フロントドア」、またそれらを投げ分ける能力である「コマンド」等、メジャーからは新しい情報や戦術が輸入されてきました。

これらマスターするのはとてつもなく難しいことですが、トライすることは決して無駄ではありません。

ツーシームや上記の情報・戦術に限らずですが、貪欲に情報を収集したりトライすることで、投球の幅を広げてください。

この記事で新たな発見や、気づきがあれば幸いです。

以上、世界的に流行中!現代の魔球「ツーシーム」とその軌道について〜シュートとの違いは何か?〜…でした!


関連コンテンツ:



COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です