リーグ4連覇に向け、セ・リーグ首位をひた走る広島カープの頼れる4番と言えば鈴木誠也。
3年連続3割20本塁打以上といった打撃だけでなく、鉄砲肩に俊足、漫画の主人公のようなプレーを見せ、見る者を魅了している。
高卒の生え抜き選手として成長を続け、今やチームの顔となった若き4番打者の魅力に迫っていく。
1人を引き付ける魅力がある
「この一打席に懸ける」
その思いが人一倍強い鈴木選手。チャンスで打てなかったときや、イメージ通りのスイングが出来なかったときに悔しがっている姿を多々見掛ける。
理想を追い求める姿に見る者は、「鈴木誠也でダメなら仕方ない」と納得してしまう程で、広島カープの4番として堂々と君臨している。
鈴木選手の高校時代3年間を追い続けていたのが尾形佳紀スカウトも魅了されたその一人。
「立ち姿、ユニフォーム姿からして魅力的だなと感じていたんです。
身体全体がバネで出てきているみたいで、持っている潜在能力が違うなと。
バッティング面では、僕が見ている試合での誠也はサードゴロばっかりだったんですけど、ベンチに引き上げていく時の走る姿勢が印象に残りましたね。
ストライドが広くて、これぞアスリートみたいな姿でね。本当にいい選手だなぁって思いました」
甲子園に出場せず、担当スカウト以外はプレーを見たこともないとの理由で指名は3、4位あたり。
「何としてでも獲得したい」と、鈴木選手に魅了された尾形氏は2位での指名を熱望した。
その気持ちは行動を起こすまでの熱が入った。
チームのドラフト指名会議まで1人で部屋にこもり、撮りためた練習映像を編集。自作の“誠也ムービー”を作り上げ、皆にアピールした。
そこにはフリー打撃での対応力の高さや飛距離。走力練習の脚力、バネのある躍動感等を組み込み、ポテンシャルの高さを明確に伝えた。
その熱意が伝わりで指名順位が繰り上がり2位での指名となった。
野球選手として自覚が芽生える
打つ投げる走る、三拍子全てがハイレベルなものを兼ね備えているのだが、それは昔から積み重ねた努力があったからこそなのだが、高校時代は好きなメニューに熱を入れていたと言う。
「僕は野球が単純に大好きで、試合に出るのが楽しかった。バッティングやスローイングの練習は好きでしたけど、ティーやランニングは大嫌い。ウエートも全然やっていなかった」
と言い、野球をプレーするのが好きなのが伝わってくる。
甲子園に何度も出場している名門・二松学舎大付で1年の秋からエースで実質的な打線の中心でもあったから、基礎よりも実践派だった。
プロの世界に入り、壁に当たる。
1年目のとき、周りのみんなはのレベルの高さ、それでいて練習量が凄く多い。
「このままではやばい」、そう感じ危機感を覚えたと言う。
プロ野球の世界は能力の高い選手が集まった中での競争、プロ野球選手としての自覚が芽生え、そこからさらに練習量が増し結果が出るようになったという。
12球団でも特に練習が多いと言われている広島カープ、練習量だけでなく生え抜き選手がどんどん活躍を見せる姿に、成功した自分の姿を重ねれたことが良かったのだろう。
“悔しさ”を糧に
高校時代(二松学舎大付)の監督の市原勝人氏は、「誠也のことで思い出すのは、やっぱり負けて悔しがっている姿ですね。誠也の場合は公式戦だけじゃないですから。練習試合だって、変な負け方をすると、そりゃもう悔しがっていました」。
“悔しさ”
スポーツにおいて強い選手になるために必要な感情だ。
悔しさは、「負けず嫌い」と密接に繋がっている感情でもある。
正しく悔しがることで、必ず自己の成長に繋がる。
悔しさには、「次は勝つ」というエネルギーになるし、「何故負けたのか」「何が悪かったのか」「次はどうすれば勝てるのか」と探求していく。
すると以前よりももっと強くなることが出来る。
先ほどにも述べた「この一打席に懸ける」思いも強い鈴木選手。
悔しさを糧にして「必要なものは何か」を考え、自分を磨いて成長してきた。
悔しさの根底ににある、野球に対する思いについて鈴木選手は、
「野球を楽しむことが一番。細かいことを気にしすぎると、本来のことが分からなくなる」
と言い、野球を始めた頃の純粋な気持ちを大事にしている。その気持ちを大事にし持ち続けているからこそ、活躍を続ける今でも猛練習を続けているのではないだろうか。
まだまだ伸びしろがある
筋骨隆々の肉体で4番を打つ姿だけでなく、守備力も一級品。
50m5秒8を記録した俊足で広範囲を守り、投手として148㎞の強肩を武器に二度のゴールデングラブ賞を獲得している。
特に肩は凄く、某テレビ局の番組内で梶谷(DeNAベイスターズ)選手は、
「ロケットランチャーが飛んで来るみたいに…バズーカみたいな、スゴい強烈だなと思いながら見てます」
と凄さを語っており、プロの一流選手が驚くということは相当なことと言える。
入団時、小さい頃からの憧れのイチロー氏と同じ「51」の背番号をつけ、走攻守3拍子で活躍。
その姿にイチロー氏の姿がダブって見える。
今年25歳を向かえ、まだまだ伸びしろがある鈴木選手。
日本人野手として今までメジャーでの成功例は少ないが、メジャーに挑戦し活躍を見せてほしい。
いや同じ「鈴木」としてメジャーを再び席巻してほしい。
まとめ
2019年、広島の“準永久欠番の1番”が6年のときを経て復活した。
2000本安打を達成し、「天才」と呼ばれた前田智徳氏が引退してから空いていた背番号「1」。
その重責を担うのが鈴木選手。
天才の後継者、そしてチームリーダーとして指名され、今季これまでの成績は過去を凌いでいる。
広島の若き4番はこれから先、日本だけでなく世界を席巻していくのではないだろうか。なぜなら、イチロー氏同様「野球を楽しむこと」をモットーにしているのだから。
参考サイト
https://www.google.co.jp/amp/s/www.sanspo.com/baseball/amp/20181120/car18112012250004-a.html
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190219-00000006-baseballo-base
https://number.bunshun.jp/articles/-/838730?page=3
https://www.google.co.jp/amp/s/www.nikkansports.com/m/baseball/news/amp/201709190000343.html