アイキャッチ画像引用:https://www.sanspo.com/baseball/photos/20181030/gia18103005060004-p1.html
巨人のエース菅野選手は伯父が現読売巨人監督の原辰徳。
日本ハムが交渉権を得るも入団を拒否し、念願であった読売巨人に入団。
誰よりもプレッシャーのかかる中、1年目から13勝を挙げ、6年間の通算勝利は76勝。
投球回数は、全シーズン150回を越え、沢村栄治賞を2年連続獲得する等、読売巨人のエースであり日本を代表する投手である。
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沢村栄治賞の受賞
最多勝利、最優秀防御率、ベストナイン、、、今まで数々のタイトルの獲得や表彰を受けてきたが、中でも凄いのが沢村栄治賞を二回獲得したこと。
この賞は戦前に活躍した伝説の速球投手、沢村栄治の栄誉と功績を讃えるため、1947年に制定された。
明確な数字で決まる他のタイトルとは異なり、以下の7項目の選考基準を元に選考委員会の審議により決定される。
【選考基準】
・登板数:25試合以上
・完投数:10試合以上
・勝利数:15勝以上
・勝 率:6割以上
・投球回:200投球回以上
・奪三振:150個以上
・防御率:2.50以下
投げる(登板数・投球回・完投数)勝てる(勝利数・勝率)抑える(防御率・奪三振)のトータルバランスが、ハイアベレージで取れてこそ与えられる名誉ある賞。
毎年選ばれる訳ではなく、該当者なしのシーズンもあり、投手の最高峰のタイトルと言える。
この賞を複数回獲得したのは14人だけで、2017年に獲得した菅野選手で14人目となる。
先発完投型の投手が少なくなった昨今のプロ野球界では、1シーズンにおける「200イニング」と「10完投」はかなりハードルが高く、
2011年の田中将大(現ニューヨークヤンキース)選手から2018年の菅野選手まで選考基準には達していない。
そんな中、2017年初受賞の際、メディアの前で菅野選手は「全項目をクリアできるように」と臨んだ2018年。
7項目全ての基準を満たし、選考会議満場一致での受賞となった。
有言実行ということで、本人の満足感は一塩だろうし、周りをあっと言わせた2回目の受賞だった。
野球の名門東海大相模→東海大学の野球エリート街道をひた走る入団まで
経歴は、数々のプロ野球選手を輩出している名門、東海大相模高校から東海大学。
高校時代は、MAX148kmや3年の夏に名門・横浜高校に勝つなどして、ドラフト候補であった。
大学に進学後は、1年の秋に5勝0敗、防御率0.24(リーグ一位)の好成績を皮切りに通算37勝4敗。
連盟新記録となる、通算53回連続無失点、86回連続自責点0点、14完封勝利といったずば抜けた成績を残し、チームを4度の全国大会出場に導いた。
ドラフトの目玉として注目が集まる中、「小さいころからの夢」として巨人入りを熱望。
日本ハムが一位で交渉権を得るが入団拒否。
日本ハムサイドから話を聞き、最終的に読売巨人に入団という「夢」への思いが勝り野球浪人を選択。
翌年再び巨人から一位指名され入団に至る。
気迫のこもった投球スタイル
大学3年生の夏、当時キューバ代表のデスパイネ(現ソフトバンクホークス)に対して157キロを投げ込んでいる。
身体のポテンシャル的には160キロを出すことも決して不可能ではないはずだ。
それをしないのは、「エースとしての自覚」からではないだろうか。
スピードを追い求めるよりも、長いイニングを投げること、最少失点に抑えることを重んじている。
大事な場面で力を出すには、力配分が必須になることを実感し、「9回を投げ終わっても、余力を残すぐらいが理想」と語っている背景には、ほんの少しのミスが命取りになる経験からくるものだろう。
実際、ピンチやランナーを出したくない場面での球の勢いはすさまじいし、気迫は一線を画している。
また「投手は投げるだけでない」という持論があり、ここぞの場面で鬼気迫る表情で打席に立ち、ヒットを放ったりしている。
日本代表として米監督に『彼は大リーガーだと言わしめる』
大学時代・プロと幾度に渡り、日本代表として日の丸を背負ってきた菅野選手だが、みなが最も印象に残っているのは2017年、第4回WBCの対アメリカ戦だろう。
4番のノーラン・アレナドに対して3三振を奪う等の好投を見せ、6回を投げ3安打1失点(自責点0)。
試合は1対2で敗れるが、アメリカの監督は戦前は「正直よく知らない」と言っていたが、試合後
「彼はメジャーリーガーだ。どれくらい印象に残ったか伝えきれないほどだ。速球はコーナーに制球出来るし、カウント3-0からでもスライダーを投げる。とても印象的だった」
と賛辞を送るほど絶賛していた。
さらなる上を目指す向上心の強さ
“結果を残すことでしか生き残れない”
一見、過酷ともいえる環境のプロ野球。
その環境下では、必然と一流の技術を持った選手のみが試合に出場出来る。
情報社会となった現代では、相手は研究・対策を行い対戦に臨んでくる。
毎年、結果を残すには進化を止めず常にレベルを上げなくてはいけない。
菅野選手はその気持ちが強すぎた故に壁に当たったときがあった。
菅野選手が投げる球種と言えば、ストレートに切れ味鋭いスライダー、シュート系のボールだ。
進化を望み行ったのが「球種を増やすこと」。
2017年のオフからキャンプにかけシンカーの習得に勤しんだ。だが、2018年開幕戦で12安打5失点、次戦も7安打5失点と打ち込まれた。
新しい球種を覚えることで、それまで持っていた球種に対する繊細な感覚にズレが生じたのだろう。
これは、桑田真澄(元読売巨人、ピッツバーグ・パイレーツ)も陥った現象である。
打ち込まれる中、その弊害に気付いた菅野選手は、3戦目にシンカーを一球も投げなかった。
結果、8回6安打1失点の好投。壁に当たり立ち止まって振り返ったことで失敗に気づき、一つひとつの球種の精度をもっと高めることが、進化だと感じ磨きをかけた投球スタイルで2018年は先ほど述べた好成績を残した。
まとめ
沢村栄治賞を3回獲得しているのは、実は4人しかいない。
今年、菅野選手が獲得すれば22年ぶりの快挙であり、3年連続となり金田正一(元国鉄、巨人)が獲得(1956年~1958年)して以来の快挙となる。
それだけでなく、今年30歳を迎えるということで、これから脂の乗ってくる年である。
3回に留まらず史上初の4回を獲得するのではないか。
いや、さらにその先のまだ見ぬ記録を作っていくのではないかと期待が持てる。勝ちを重んじ、進化を止めない菅野選手は今後我々に、どんな夢を見せてくれるのだろうか。
参考資料:
https://www.google.co.jp/amp/s/www.sanspo.com/baseball/amp/20181030/gia18103005060004-a.html
https://bunshun.jp/articles/-/11201?page=1
https://baseballking.jp/ns/column/170633
https://number.bunshun.jp/articles/-/833097?page=2