プロ野球・メジャーリーグ

日本ハムが大谷選手を説得に使った交渉資料を現役ビジネスマンが解説

アイキャッチ引用:number

こんにちは、橘裕司です。

今回は、現在メジャーで大活躍の大谷選手について取り上げてみたいと思います。

大谷選手といえば、ドラフトの際に、

「僕はメジャーにいく、プロ野球にはいかない」

と明言し、その中で日本ハムファイターズがドラフト指名し、幾多の交渉を経て、日本ハムへの入団が決まりましたよね。

私もクライアントと交渉をして説得を試みることが多々あり、契約を決めることを「クロージング」と呼びますが、日本ハムのプレゼン資料をみて、まさに交渉スキルを注ぎ込んだ集大成だなと思う次第です。

それでは、1枚1枚、解説していくという私の趣味に興味のある方はお付き合いください。

交渉でポイントとなるもの

交渉でポイントになるのは、相手(が欲しがるもの)を知る、自分が相手にもたらせる明るい未来を提示する、の2点に集約されます。

その中で、交渉をうまくいかせるには、以下のような「コツ」があります。

  1. ストーリーを伝える
  2. 避けたい欲求を認識させる
  3. 困難な現状を共に嘆く、本人のせいではなく環境が整っていないことを認識させる
  4. 数字を用いて具体例で納得してもらう
  5. 権威をアピールする
  6. 希少性をアピールする
  7. 奇数を使ってメリット・理由を開示
  8. 誠実さを徹底的に見せる
  9. 明るい未来が訪れる理由を明確に開示
  10. 同じ目的を持つ同士であることをアピール
橘裕司
橘裕司
こんなにあるの!?

上記の他にまだまだありますが、交渉というのは、かなりメソッド化が進んでおり、交渉メソッドを身につけるとビジネスがうまくいくのはもちろん、交渉相手が同じような手段で説得を試みても揺さぶられることはありません。

しかし、残念なことに、詐欺師などに悪用されることも多々あるのが交渉メソッドです。今この記事を書いていて思いましたが、大谷選手へのプレゼンテーションを元にここで解説すれば、もしかしたら明日救われる人もいるのかと思いました。

橘裕司
橘裕司
社会貢献感・・・

それでは大谷選手への日本ハムが実行した、プレゼンテーションを1枚1枚解説していこうと思います。

橘裕司
橘裕司
完全に自己満記事でワロタ

各資料解説

ざっと全ての資料がとにかく見たい方は、日本ハムの公式HPに掲載されていますのでアクセスの上、読み進めてみましょう。

ちなみに目次はこんな感じです。

合計で25枚あるので、重要なところを解説していきます。

まずはプレゼンテーションをする際の「キャッチコピー」ですね。

大谷翔平君 夢への道しるべ

「夢」という言葉を全開にしてますよね。夢という言葉は非常にキラーワードです。

夢を叶える、とか夢を引き寄せる、とか広告が巷にはあちこち落ちていますよね。

これは世界共通で「夢」という言葉は説得される本人にはインパクトを与えるからなんですよね。

「あぁ、この人は僕の夢を真剣に考えてくれている」

「あぁ、夢を叶えるために一緒に頑張ってくれるんだ」

大谷選手も今では大人になりましたが、当時は若干18歳の高校生。夢という言葉は破壊力があります。ここで「掴み」を得るわけですね。

では、最初のページです。

上記スライドは大谷選手の夢を「明確化」し、「現実」を整理した内容になっています。

全て△にして、「お前さん、現実を甘く考えちゃダメだよ」と言ってるわけですね。

ここで上記で列挙した、

  • 避けたい欲求を認識させる(△になりたくない)
  • 困難な現状を共に嘆く、本人のせいではなく環境が整っていないことを認識させる(NPBとMLBの構造が悪い)

をまず活用しています。とにかく現状を認識しなさい、厳しいものだ、でもそれはあなたのせいではない、構造が悪いんだ、と言ってるわけですね。

橘裕司
橘裕司
なんか解説が怖いんですけど・・・

以下はさらなる補足資料でどんどん現実は厳しいことを浸透させていきます。

次の資料で、「納得」に持っていきます。

日本からは47名がメジャーリーグに渡り、結果を残した選手は9名おり、そのいずれもがNPBで実績があった選手であることを強調。さらなる具体例として、日本ハムに実際にいたダルビッシュの例を出し、NPBの後でも長期でMLBで活躍できるよ、と本格的に納得させていく。

だめ押しで早期渡米は前例がないので非常に「賭け」に近いと言っています。この後、日本ではサンプルが少ないので韓国のプロ野球を例に出しています。韓国の野球選手で高卒からMLBは日本では初でもアジアでは初ではない。韓国の例を出すくらいですからかなり説得は困窮していたんじゃないでしょうかね。少し強引な気もします。

橘裕司
橘裕司
パイオニアでもないんだよ?てことですね。

これは以下に該当しますね。

  • 数字を用いて具体例で納得してもらう(MLB活躍の9名はNPBで実績あり)
  • 明るい未来が訪れる理由を明確に開示(NPBを経由すると成功する)
  • 権威をアピールする(ダルビッシュを育て上げた)
  • 希少性をアピールする(ダルビッシュを育て上げた)
橘裕司
橘裕司
日本野球での高い実績が「MLBトップの実力」「長期活躍」に影響しているといえるってのが明るい未来を明確に開示してるんですね

ここにきてさらなる追い討ち。パーセンテージで高卒でNPB経由せずにMLB行ったら5.6%しか過去に成功していないよと。

橘裕司
橘裕司
めちゃ不安煽るやん・・・。

ここはまさに、以下のコツを使ってるんですね。

  • 避けたい欲求を認識させる(MLBで失敗した94.4%に入りたいか?)
  • 数字を用いて具体例で納得してもらう(今成功する確率は5.6%しかないぞ?)

不安を煽る煽る。私ならここまで言われたらNPBでいっか、と折れます。

この後に日本ハムは他のスポーツの例も出して徹底的に国内でまず野球をするのがあなたの明るい未来に近道ですよ〜と言ってるんですね。この辺は私でしたら寝てしまいますね。野球と他のスポーツを比較してもしょうがないかと。(結構なスライド使ってるんですよね)

テニスとかサッカーと野球を比べてどうするんですかい?大谷選手が一流のスポーツアスリートは若くして海外に行っている、というようなことを言ったのかもしれませんね。

このくらいになると、大谷選手はまだ諦めていなかったと思いますが、隣で聞いているだろう両親は「高卒でメジャーリーグには行かせられない・・・。」と100%思っていたでしょう。

橘裕司
橘裕司
不安でしょうがないですわ

さて、ここからが本格的な日本ハムのクロージングに入ります。国内でプレーすることのメリットを徹底的に叩き込むのです。

野球の技術の他に「人としての自立」というものを持ってきました。まさかのサッカー指導教本参照。野球理解+「人として」という、メリットのように見せて、情で訴えているようにも見えますが、高校生には間違いなく効果抜群でしょう。大人には効かない説得方法のような気もしますが、相手に合わせてよく交渉を練っているなという感じです。

ついでに「日本人には世界と勝負するまでにすべき準備がある」と「確固たる日本人として」世界で戦ってくれ、とストーリーまで想像させていますね。ついでにイチローの例を出してまた煽ってます。

橘裕司
橘裕司
君の体はもう君だけのものじゃない、日本の宝なんだってことね。

該当するのは以下ですね。

  • ストーリーを伝える(「日本人代表」として世界と戦う)
  • 避けたい欲求を認識させる(イチローでもきっとダメだったよ)
  • 困難な現状を共に嘆く、本人のせいではなく環境が整っていないことを認識させる(MLBは日本人には難しすぎる、お前のせいじゃない、環境のせいだ)

そして、クロージングも終盤へ。

もう最後は早期渡米は絶対失敗する、NPBに進めば絶対成功する!くらいの結論を出しています。この時話をしたのは栗山監督なんでしょうか?話し手の熱を一番入れなければならず、誠実さを伝えるのもこのページです。

①〜③とありますが、②と③は完全におまけですね。大谷選手の頭の中には①だけが残っています。

ここに該当するのは以下の通り。

  • 奇数を使ってメリット・理由を開示(3つの結論)
  • 誠実さを徹底的に見せる(話し手の熱量で誠実さを出す)
  • 明るい未来が訪れる理由を明確に開示(NPBで実績出せばMLBも活躍できる)
  • 同じ目的を持つ同士であることをアピール(日本ハムは徹底的にあなたを支援する、日本人代表を育て上げMLBに送り出す気概でいる、一緒に夢を追いかけよう)

今回の総括

ダラダラと解説してきましたが、よーく見ると日本ハムのプレゼンテーションは基本煽りに煽ってるんですよね。高校生でこんなに煽られたら死ぬでしょ。

橘裕司
橘裕司
ぶっちゃけ1枚目のスライドで心折れる

日本の球団からすると、まだまだMLBで活躍する選手は少なかったですし、交渉材料はたくさんあったので圧倒的に有利ですよね。

対する大谷選手は高卒から直にMLBに渡り活躍するパイオニアを目指すわけですから、前例もないので材料はなく、合理的に考えればNPBを経由するのが間違い無いのは納得な部分ですので、日本ハムからするとドラフトで指名する前から交渉で勝つことはある程度想定内だったんではないかな、と想像します。

最後にだめ押しで、二刀流を徹底的に支援するという話で説得終了でしょう。この交渉が長引いたのは、大谷選手の周り、つまり花巻東の監督や両親など関係者が本人の意志を尊重したいという思いが強かったことだけが原因なのかな、と。

橘裕司
橘裕司
大谷選手が頑固だったのかにゃ?

色々と書きましたが、プレゼン資料の本当の戦略は知りえませんので、全て憶測で書いていることご了承ください。

でも、面白いくらい交渉スキルに当てはまっていたので、誰が指導したんだろう、と気になるところですね。

大谷選手、応援しています!

しかし、毎日大谷選手の出場試合をYoutubeにあげている人は誰なんだろう?

橘裕司
橘裕司
すごく助かる・・・。

それでは。


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