2018年―2019年のオフには埼玉西武ライオンズのエースである菊池雄星選手がポスティングシステムを使用し、MLBのシアトル・マリナーズに移籍しました。
その際、契約の規模とその複雑さが話題となりました。
契約内容は、契約金が600万ドル(約6億6000万円)となっており、2019年は800万ドル(約8億8000万円)、2020年は1400万ドル(約15億4000万円)、2021年は1500万ドル(約16億5000万円)となっています。
2021年終了時にその後4年間の6600万ドル(約72億6000万円)の契約選択権を行使しない場合でも、2022年は1300万ドル(約14億3000万円)でプレーが可能となっています。
なお出来高もついているようで、各勝の受賞や順位に細かく金額が定められているようです。
今シーズンの年俸は2億4000万円となっていることから、大幅アップとなっていることへの驚きとともに、「MLBの年俸(と契約)はどうなっているんだ?」と思った方も多いかと思います。
そこで本記事では2018シーズン開始時点でのMLB選手の年俸ランキングや、歴代の年俸ランキングについて紹介したいと思います。
2019年シーズン開始時点での年俸ランキング
近年高騰続けているMLB選手の年俸ですが、ここでは2019年開始時点の年俸について上位10人を紹介したいと思います。
2018年シーズンの成績が年俸に見合っている選手と見合っていない選手がいますが、いずれも実績は十分な選手ばかりです。
第9位タイ アルバート・プホルス(アナハイム・エンゼルス)
年俸:2800万ドル(約30億8,000万円)
1980年1月16日(39歳)
2018シーズン成績:117試合 114安打 19本塁打 64打点 1盗塁 打率.245 出塁率.289 OPS.700
獲得タイトル:首位打者1回、本塁打王2回、打点王1回等
9位タイはエンゼルスのプホルスです。メジャー屈指の強打者でのあるプホルスは10年2億4000万ドルという長期契約を結んでいます。
2012年から2021年までに年俸が徐々にあがる変動性となっており、2019年は2800万ドルですが、2020年には2900万ドル、2021年には3000万ドルとなっています。
第9位タイ ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)
年俸:2800万ドル(約30億8,000万円)
以前はデトロイト・タイガースに在籍し、生涯タイガースを希望していたこともあり、2013年に2015年から2020年まで1億6200万ドル(2020年は条件付きオプション)で契約し、その他オプションを含め初の2億ドル投手となりました。
その後トレードでアストロズに移籍し、2019年は2800万ドルとなっています。
第8位ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)
年俸:2900万ドル(約31億9,000万円)
1985年10月18日(33歳)
2018シーズン成績:38試合 37安打 9本塁打 29打点 3盗塁 打率.317 出塁率.403 OPS.976
獲得タイトル:シルバースラッガー賞1回
第8位はメッツの外野手であるセスペデスです、契約内容は4年1億1000万ドルとなっています。
2017年シーズンは2250万ドル、2018〜2019年は2900万ドル、2020年は2950万ドルとなっています。
第7位 ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)
年俸:3000万ドル(約33億円)
1983年4月18日(35歳)
2018シーズン成績:38試合 40安打 3本塁打 22打点 0盗塁 打率.299 出塁率.395 OPS.843
獲得タイトル:首位打者4回、本塁打王2回、打点王2回等
7位はタイガースの主砲カブレラです。
契約内容は8年2億4800万ドルと長期契約になっています。
条件を満たすと自動的に更新されるオプションは2年契約6000万ドルとなっています。
契約金はありませんが、2016〜2017年シーズンは2800万ドル、2018〜2021年は3000万ドル、2022〜2023年は3200万ドル、2024〜2025年は3000万ドルの契約となっています。
第5位タイ デビット・プライス(ボストン・レッドソックス)
年俸:3100万ドル(約34億1,000万円)
1985年8月26日(33歳)
2018シーズン成績:30登板 176投球回 16勝7敗 177奪三振 防御率3.58 WHIP1.14
獲得タイトル:最多勝利1回、最優秀防御率2回、最多奪三振1回等
5位タイはレッドソックスの先発投手として活躍するプライスです。
契約内容は7年2億700万ドルとなっています。
契約金はありませんが、2016〜2018年シーズンは3000万ドル、2019年は3100万ドル、2020〜2022は3200万ドルの契約となっています。
第5位タイ クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)
年俸:3100万ドル(約34億1,000万円)
1988年3月19日(30歳)
2018シーズン成績:26登板 161.1投球回 9勝5敗 155奪三振 防御率2.73 WHIP1.04
獲得タイトル:最多勝利3回、最優秀防御率5回、最多奪三振3回等
5位タイは2017年の年俸ランキング1位、2018年は2位だったカーショウです。
ドジャースの先発として活躍するカーショウの契約内容は3年9300万ドルとなっています。
近年のトップ選手では珍しく年俸変動性ではなく契約金もないため年俸は年平均となっています。
第4位 マイク・トラウト(アナハイム・エンゼルス)
年俸:3408万3333ドル(約37億4,916万円)
1991年8月7日(27歳)
2018シーズン成績:140試合 147安打 39本塁打 79打点 24盗塁 打率.312 出塁率.460 OPS.1.088
獲得タイトル:打点王1回、盗塁王1回等
4位は2018年シーズン開始時点では1位だったトラウトとなりました。
エンゼルスでは外野手として活躍し「現役最高の選手」とも言われるトラウトですが、契約内容は6年1億4450万ドルとなっています。
2019年は3325万ドルに契約金の分割文として833万333ドルが加算されています。
第3位 ザック・グレインキー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
年俸:3450万ドル(約37億9,500万円)
1983年10月21日(35歳)
2018シーズン成績:33登板 207.2投球回 15勝11敗 199奪三振 防御率3.21 WHIP1.08
獲得タイトル:最優秀防御率2回等
3位はダイヤモンドバックスの先発投手であるグレインキーです。契約内容は6年2億650万ドルとなっています。
2019年は3150万ドルに契約金の分割文として300万ドルが加算されています。
第2位 マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)
年俸:3740万5562ドル(約41億1,461万円)
1984年7月27日(34歳)
2018シーズン成績:33登板 220.2投球回 18勝7敗 300奪三振 防御率2.53 WHIP0.91
獲得タイトル:最多勝利4回、最多奪三振3回等
2位はナショナルズの先発投手であるシャーザーです。契約内容は7年2億1000万ドルとなっています。年平均の3000万ドルでなく変動性となっています。
2019年は3026万2705ドルに契約金の分割文として714万2857ドルが加算されています。
第1位 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)
年俸:3833万3334ドル(約42億1,666万円)
1988年7月20日(30歳)
2018シーズン成績:22登板 130投球回 10勝7敗 156奪三振 防御率3.74 WHIP1.20
獲得タイトル:最多奪三振1回等
1位は2位のシャーザーと同じくナショナルズの先発投手であるストラスバーグとなりました。
2016年のオフにFAとなった際にナショナルズと結んだ契約は7年1億7500万ドルとなっていますが、7年間の終了後にも分割で支払われるため、年平均2500万ドルとはならないようです。
2019年シーズンは3500万ドルの契約に契約金の分割分として333万334ドルが加算されています。
ランキングを作成すると10位から単年で30億円を超えており、その巨額さに驚かされます。
MLBから日本プロ野球に移籍した選手の年俸(例:2014年に楽天へ移籍したユーキリス選手は3億円)の年俸に驚かされることはありますが、MLBの年俸高騰を考えると、現役メジャーリーガーの獲得のためにはしょうがないかもしれません。
2018シーズンの成績のみを見てしまうと違和感を感じる選手もいますが、獲得タイトルの数など、実績は球界トップクラスです。
いずれも長期契約を結んでいるため、契約時から成績を落としてしまったり、故障をしてしまっているケースだと思います。
気になる選手については、キャリアハイや契約時の成績を見てみると興味深いかもしれません。
MLB球団の総年俸ランキング
2019年のMLB球団の総年俸ランキング上位5球団は下記の通りです。上記の選手年俸ランキングと比較すると、あまり名前の上がっていない球団も上位にきており、そういった球団は平均年俸が高い球団だと推測できます。
第5位 ロサンゼルス・エンゼルス 1億6,735万999ドル
第4位 ロサンゼルス・ドジャース 1億9,277万6,668ドル
第3位 ニューヨーク・ヤンキース 1億9,336万357ドル
第2位 シカゴ・カブス 2億890万714ドル
第1位 ボストン・レッドソックス 2億2,034万2500ドル
5位以上はいずれも170億円を超えており、4位以上は200億円をこえています。2018年の日本プロ野球球団の総年俸一位がソフトバンクの約62億円といわれていることからも、その規模が分かるかと思います。
なおソフトバンクの約62億円はMLB30球団内でいうと29位か30位の低年俸になります。
メジャー契約年数ランキング
MLBというと巨額な契約も特徴ですが、日本にはない程の長期間の契約も特徴です。
MLBでは10年契約の選手は多くいますが、中には少ないですが10年を越える選手もいます。
以下に10年越えの契約をした選手について契約年数の長い上位の5選手を紹介します。
第3位 トッド・ヘルトン 11年総額1億5200万ドル ロッキーズ
第2位 ジョーイ・ボット 12年総額2億2500万ドル レッズ
第1位 ジャンカルロ・スタントン 13年総額3億2500万ドル マーリンズ
メジャー歴代契約総額ランキング
年俸や契約年数について上位の選手を紹介してきましたが、本項では契約の総額について歴代での上位5選手を紹介したいと思います。
第5位タイ ロビンンソン・カノ(シアトル・マリナーズ)
10年2億4000万ドル
第5位タイ アルバート・プホルス(ロサンゼルス・エンゼルス)
10年2億4000万ドル
第4位 アレックス・ロドリゲス(テキサス・レンジャーズ)
10年2億5200万ドル
第3位 アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)
10年2億7500万ドル
第2位 ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)
10年2億9200万ドル
第1位 ジャンカルロ・スタントン(フロリダ・マーリンズ)
13年3億2500万ドル
総額でランキングを作成すると、10年以上の契約年数しかないという結果になりました。
それぞれが、MLBを詳しくなくても一度は名前を聞いたことがある人多そうな名選手です。
補足をすると、アレックス・ロドリゲスの名前が2回出てきますがこれは球団が違うためです。
2000年オフにマリナーズをFAとなった25歳のロドリゲスは、当時のスポーツ選手契約史上最高額となる、10年2億5200万ドルでレンジャーズと契約しました。
ロドリゲスはレンジャーズで大活躍を果たしますが、ロドリゲスの契約はレンジャーズの契を圧迫するほどだったため、チームは放出を検討していました。
2003年のオフにレッドソックスとヤンキースで争奪戦が行われ、年俸の減額とともにレッドソックス入りがほぼ決まっていましたが、選手会の反対(契約途中に減俸しての移籍が常態化することを反対)され頓挫。
ヤンキース入りが決定し活躍した後、2007年オフに、契約を破棄しFAできるオプションがロドリゲス側にあったことから、FAを選択。
その後ヤンキースと10年2億7,500万ドルの再契約に至りました。
まとめ
MLBの年俸について説明しましたが、思っていたよりも日本プロ野球よりも高騰が進んでおり驚きました。
日本プロ野球とのレベル差は野手はまだ大きいように感じますが、投手は差が縮まっているように思います。
そういった現状を考えると、日本選手の海外挑戦はやむを得ないと思いますし、是非年俸に見合うよう、怪我無く実力を発揮してもらいたいと思います。
なおMLBでは年俸の高騰による戦力の球団間格差を解消する目的で「贅沢税」という制度を設けています。
これは規定額を超えた球団に対する課徴金のことですが、この規定額の設定次第では、戦力の平均化がすすみ、より野球が面白くなるかもしれません。
こういった混戦を作る取り組みは、バランスが難しいところですが、形を変えて日本プロ野球にも応用出来たら面白いですね。
以上、年俸の高騰が止まらない!MLB(メジャーリーグ)の高額年俸選手を一覧で紹介!…の話題でした。