近年は渡米しメジャーの球団に入団して活躍する日本人選手も多く、身近になってきた感もあるメジャーリーグですが、日本プロ野球とはリーグ運営と近い点と違う点が多くあり、またそれをしっかりと理解している人は少ないと思います。
よって本記事では、メジャーリーグの各リーグとそのプレーオフの仕組みについて説明するとともに、日本プロ野球との差異を説明し、「なんとなく分かっていること」を明確にすることを目的に作成しました。
この記事を読めば、もっとメジャーリーグを身近に感じてもらえれると思います。では次項より説明します。
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メジャーリーグにおける各リーグの分け方
一般的には「大リーグ」や「メジャーリーグ」と言いますが、正式には「メジャーリーグベースボール(略称:MLB)」となります。
よって本記事では以降は「MLB」で統一させて頂きます。
ちなみ「大リーグ」という呼び名は、メジャーリーグの別名でもある「ビッグリーグ」を訳したものになります。
リーグは「アメリカンリーグ」と「ナショナルリーグ」の2リーグ制で運営されており、その点は日本プロ野球と共通です。
しかし、日本は12球団しか有りませんが、MLBは30球団により構成されているため、各リーグ内でもさら各地区に分けられています。
なおナショナルリーグが先に成立し、アメリカンリーグは、ナショナルリーグのマイナーリーグが前身となっています。
しかし2リーグ制となったのは1901年ですので、現在に至っては差はまったく有りません。
では、それぞれのリーグについて解説したいと思います。
◆ナショナルリーグ
日本では「ナ・リーグ」と略されることも多いナショナルリーグですが、正式名称は「ナショナル・リーグ・オブ・プロフェッショナル・ベースボール・クラブズ」となっています。
15チームが所属しており、それぞれ5チームずつが「東地区」、「中地区」、「西地区」に分かれています。所属チームは下記の通りです。
ナショナルリーグの特徴としては指名打者制を採用しておらず「投手も打席に立つこと」です。
東地区 | 中地区 | 西地区 |
アトランタ・ブレーブス | シカゴ・カブス | アリゾナ・ダイヤモンドバックス |
ニューヨーク・メッツ | シンシナティ・レッズ | コロラド・ロッキーズ |
フィラデルフィア・フィリーズ | ミルウォーキー・ブルワーズ | ロサンゼルス・ドジャース |
ワシントン・ナショナルズ | ピッツバーグ・パイレーツ | サンディエゴ・パドレス |
– | セントルイス・カージナルス | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
◆アメリカンリーグ
日本では「ア・リーグ」と略されることも多いアメリカンリーグですが、正式名称は「アメリカン・リーグ・オブ・プロフェッショナル・ベースボール・クラブズ」となっています。
ナショナルリーグと同じく15チームが所属しており、それぞれ5チームずつが「東地区」、「中地区」、「西地区」に分かれています。所属チームは下記の通りです。
なお、アメリカンリーグは指名打者制を導入していることが特徴です。
東地区 | 中地区 | 西地区 |
ボルチモア・オリオールズ | シカゴ・ホワイトソックス | ヒューストン・アストロズ |
ボストン・レッドソックス | クリーブランド・インディアンス | ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム |
ニューヨーク・ヤンキース | デトロイト・タイガース | オークランド・アスレチックス |
タンパベイ・レイズ | カンザスシティ・ロイヤルズ | シアトル・マリナーズ |
トロント・ブルージェイズ | ミネソタ・ツインズ | テキサス・レンジャーズ |
レギュラーシーズンとポストシーズン
MLBはレギュラーシーズンとポストシーズンで構成されており、レギュラーシーズンは162試合で地区優勝を争います。
ポストシーズンはトーナメント制となっており各段階ごとに名称があり、「ディビジョンシリーズ」、「リーグチャンピオンシップシリーズ」、「ワールドシリーズ」で構成されています。また、「ディビジョンシリーズ」進出をかけた「ワイルドカードゲーム」も2012年から導入されています。
ではそれぞれのシリーズについて説明します。
◆ワイルドカードゲーム
レギュラーシーズンで地区優勝を逃した勝率上位2チームが1試合で勝敗を決するのがワイルドカードゲームになります。
勝利したチームが次のディビジョンシリーズへ進出することができます。2012年から導入されたシステムですが、2014年にはナ・リーグのサンフランシスコ・ジャイアンツがワイルドカードゲームからワールドシリーズ制覇を果たしています。
◆ディビジョンシリーズ
日本では一般に「(プレーオフ)地区シリーズ」と言われるのが、この「ディビジョンシリーズ」になります。
リーグの地区優勝を果たした3チームとワイルドカードゲームを勝ち上がった1チームがワールドシリーズ進出を賭けて戦うシリーズになります。
なお組み合わせは「レギュラーシーズンの勝利数1位とワイルドカードゲーム勝者」と「勝利数2位のチームと勝利数3位のチーム」の対戦になります。
最大で5試合となっており、先に3勝したチームが次のリーグチャンピオンシップシリーズに進むことができます。
◆リーグチャンピオンシップシリーズ
ディビジョンシリーズを勝ち上がった2チームにより、リーグの優勝者を決めるのがリーグチャンピオンシップシリーズになります。
本シリーズからシリーズMVPの選出があります。
勝率が高い方が1、2、6、7線をホームで実施できるホームアドバンテージをえることができ、ワイルドカードから勝ち上がったチームがいる場合は、地区優勝のチームがアドバンテージを得ます。
なお試合は最大で7試合となっており、先に4勝したチームが次のワールドシリーズに進むことができます。
◆ワールドシリーズ
ナショナルリーグとアメリカンリーグそれぞれのディビジョンシリーズを制したチーム=優勝チームが、その年の王座を争うのがワールドシリーズです。
ワールドシリーズという名称と、世界最高峰のリーグとされていることから、「世界一を決める戦い」と言い換えることもできます。
名称の由来は、19世紀に行われていたナショナルリーグとアメリカン・アソシエーションの優勝チームが行っていた選手権がワールドシリーズと呼ばれていたこと起因しています。
最大で7試合となっており、先に4勝したチームがチャンピオンとなり、その年の世界一となります。
まとめ
メジャーリーグのリーグ構成や、ポストシーズンの紹介をしました。
ポストシーズンは日本プロ野球が参考にした点もあり、似ている点も多くありますが、MLBは球団数が30球団と多く、1リーグに3つの地区があり地区優勝を争っている点と、ポストシーズンで「1勝のアドバンテージ」がない点が明確に違います。
またレギュラーシーズンが162試合(日本プロ野球は144試合)と長く、ポストシーズンが長いことも特徴と言えるかもしれません。
ポストシーズンを含めるとかなりの長丁場となることから、選手の起用法にも特徴があります(例:登板間隔、球数)。
その長いシーズンや選手の起用法に多くの日本人が悩まされ、それに起因すると考えられる故障もありました。
しかし、多くの日本人が残したノウハウがMLB球団に有り、また日本プロ野球が起用法等MLBを踏襲していくこともあるかと思いますので、今後は適応の負担や故障が減り、より活躍する選手を多くみられるかもしれません。
日本プロ野球と違うこともあれば似ていることもありますし、やっていることは同じ「野球」です。細かい差異さえ理解すれば、日本プロ野球と同じように楽しめると思います。
この記事で「なんとなく分かっていたこと」が明確なれば幸いです。
以上、メジャーリーグ(MLB)と日本プロ野球(NPB)の違いについて。地区優勝って何?…の話題でした。