プロ野球界で数多の名手が愛用していることもあり有名な「久保田スラッガー」ですが、
スポーツ用品の総合メーカーではあるものの、
野球用品以外で名前を聞く機会は少なく、
また野球用品も野球用品専門店でしか見ることがないことから、
これから始める人や野球経験が浅い人は分からないことも多いと考えます。
そこで本記事では、久保田スラッガーの紹介と製品の特徴について説明したいと思います。
ちなみに、おすすめのグローブについても総合的に以下の記事でまとめていますので、
そちらも参考にしてみてくださいね。

Contents
久保田スラッガーとは?
一般的には「久保田スラッガー(以下スラッガー)」と呼ばれますが、
製造元の正式名称は「久保田運道具店」といい、
大阪市北区に本社があります。
野球用品の中でも特にグラブ開発に注力しており、
そのこだわりとクオリティからプロ野球選手でも「グラブだけはスラッガー」という選手がいるほどです。
なお中には他メーカーと契約中にラベル付け替えたり、
スラッガーのラベルを外して使用していた選手もいるようです。
それだけプロからも支持されているメーカーになります。
湯もみ型付け
新品のグラブは硬く、すぐに使用することは困難ですが、
柔らかくする方法がいくつか存在します。
その一つが今では一般的になってきた感のある「湯もみ型付け」です。
湯もみ型付けは、グラブを湯に浸けて型を作ることで、
すぐに使用できるようにする方法ですが、
皮革製品に水分はタブーとされることから斬新な方法でした。
そして、この方法を開発したのがスラッガーになります。
なお開発者の江頭重利氏は、取締役兼福岡支店長を務め、
平成24年度には「現代の名工」を受賞。
平成25年度黄綬褒章を受賞されています。
なお海外メディアに下記動画を作成されており、
グラブの世界だけでなく「日本を代表する名工」であると言えます。
使用している(いた)プロ野球選手
wikipediaに一覧がありましたので下記リンクを紹介させて頂きます。
一覧を見て好きな選手の名前がある人は、スラッガーを選んで見ても良いと思います。
使用している主なプロ選手
- 読売ジャイアンツ:片岡治大、立岡宗一郎、吉川大幾、中井大介、森福允彦、田島洸成、高橋洸
- 阪神タイガース:鳥谷敬、大和、上本博紀、板山祐太郎、中谷将大、植田海
- 中日ドラゴンズ:三ツ俣大樹、亀澤恭平、若松駿太、遠藤一星、谷哲也、溝脇隼人
- 広島東洋カープ:小窪哲也、安部友裕、庄司隼人
- 東京ヤクルトスワローズ:今浪隆博、三輪正義、武内晋一、近藤一樹、西浦直亨
- 横浜DeNAベイスターズ:石川雄洋、荒波翔、山崎憲晴、田中健二朗、小杉陽太、乙坂智、百瀬大騎、田中浩康
- 千葉ロッテマリーンズ:清田育宏、大嶺翔太、香月一也
- 北海道日本ハムファイターズ:中島卓也、谷口雄也、浅間大基
- 福岡ソフトバンクホークス:本多雄一、高田知季、内川聖一、武田翔太
- 埼玉西武ライオンズ:浅村栄斗、金子侑司、鬼崎裕司、永江恭平、木村文紀、渡辺直人、水口大地、松本直晃、中田祥多、岡田雅利
- オリックス・バファローズ:岩﨑恭平、西野真弘、山崎福也、若月健矢、坂本一将
- 東北楽天ゴールデンイーグルス:阿部俊人、足立祐一、内田靖人、三好匠
- (グラブのみ使用等の選手を含む)
- ニューヨークヤンキース:加藤豪将
使用していたOB選手
- 読売ジャイアンツ:田辺徳雄、前田幸長
- 阪神タイガース:佐々木誠、中込伸、高山智行、江本孟紀、金本知憲、林威助、関本賢太郎、坂克彦
- 中日ドラゴンズ:大友進
- 広島東洋カープ:比嘉寿光
- ヤクルトスワローズ:辻発彦、馬場敏史、鈴木健、藤本敦士
- 横浜DeNAベイスターズ:小川博文、篠原貴行、鈴木尚典、中村紀洋
- 千葉ロッテマリーンズ:平野謙 、フリオ・ズレータ
- 北海道日本ハムファイターズ:稲葉篤紀、新庄剛志、尾崎匡哉、河野秀数
- 福岡ダイエーホークス:門田博光、石毛宏典、小川皓市
- 福岡ソフトバンクホークス:鳥越裕介、的山哲也、星野順治、森本学
- 西武ライオンズ:野村克也、吉竹春樹、江藤智
- オリックス・ブルーウェーブ:福良淳一
- オリックス・バファローズ:吉田修司、古木克明、高波文一、木元邦之、野中信吾、原拓也、齋藤俊雄
- 東北楽天ゴールデンイーグルス:土屋朋弘、後藤光尊
- (球団名は、現役最終年に所属していた球団)
内野手、それも二遊間の選手が多い?
イメージになりますが、内野手、それも二遊間の選手が多いように感じます。
捕球頻度が高く、プレーの早さを求められ、
求められるプレーの種類(幅)が多いポジションには特に合っているのかもしれません。
なお一部で勘違いされている方がいるので説明しますと、
新庄選手(元・北海道日本ハムファイターズ)がプロ入り後ずっと同じグラブを使い続けた逸話は有名ですが、
「そのグラブはスラッガーのグラブだった」と言われることが多いです。
しかし正しくはZETTです。
誤認の理由は、
ラベル部に「Shinjo」と書いたラベルが貼られている(スラッガーに見えなくもない)こと、
新庄選手の福岡出身(スラッガーの支店がある)であること、
高校時代にスラッガーでオーダーしていたことがだと考えられます。
新庄選手のファンでスラッガー購入を考えている方は注意してください。
スラッガーのグラブの種類
野球用品にはグレードを設けているメーカーが多くあります。
例えば、ミズノではミズノプロとグローバルエリートがそれにあたります。
各グレードごとに、値段や材質(革)、
生産地等が違うことから一つのメーカー内に様々なキャラクターのラインナップとなりますが、
スラッガーにはグレードはありません。
そのため、基本的にはすべて同じ革を使用しており、
価格帯も近いものとなっています。
しかし、グレードこそないものの商品ラインアップが少ないわけではありません。
例えば内野用の、それも二遊間用のモデルでも複数種類あります。
よってグラブを選ぶ際に困ることはありません。
なおスラッガーは選手モデルをベースとしたものは型番からも分かることが特徴です。
下記に代表的でオススメの型番を3点紹介したいと思います。
なお内野用に限って言えば、
「KSN=軟式用、KSG=硬式用」なので、
各モデルの硬式用を検討する方は、
「KSG」に書き換えて探してみてください。
◆KSN-L5
「スラッガーといえば」のイメージもある代表的なモデルになります。
2018年シーズンは監督として埼玉西武ライオンズを引っ張った辻発彦監督が現役時代に使用していたグラブになります。
現役時代の背番号が5番であったことから、
「ライオンズの5番=L5」となっています。
最大の特徴は「辻トジ」と呼ばれるヒンジ形状です。
ヒンジの小指側に革紐三本分のスペースが設けられていますが、
これによりグラブの捕球面を広く使用することができます。
現在では他メーカー含め様々なグラブに搭載されている機能ですが、
元祖は辻モデルであることから「辻トジ」と呼ばれています。
◆KSN-L7
今年現役を引退した松井稼頭央選手が愛用していたことでも有名なモデルです。
現役時の背番号が7番であったことから、
「ライオンズの7番=L7」となっています。
内野用としては大きな部類のグラブであり、
オールラウンド用として、
内・外野問わず使用することができる万能なグラブになります。
なおこのモデルの派生として、L7SやL7SⅢがあります。
どちらも若干小さくなっており、
松井稼頭央選手もL7Sを使用していたと言われますし、
L7SⅢはこちらも守備の名手である西武の浅村選手が使用していることでも有名です。
手のサイズや好みで選ぶと良いと考えます。
◆KSN-6PSM
モデル名の由来は分かりませんが、
現オリックス・ブルーウェーブの中島選手や、
阪神タイガースの鳥谷選手が使用していることで有名なモデルになります。
やや小ぶりなため、操作性が良く、
グラブに「手の延長」のような感覚を求める人にはオススメなモデルになります。
またポケットが浅いため持ち替えもしやすいモデルになります。
派生モデルとしては6PSLがあり、こちらは指の長さが伸びており、
鳥谷選手も使用しているようです。
操作性を損なわずに大きめのグラブが欲しい人は是非検討してみてください。
スラッガーのラベル
スラッガーはラベルの形や色が複数種類あることが特徴です。
後からラベルだけを購入し、
付け替えることも可能ですが、
購入時の新品状態で交換してくれるショップもあります。
これだけでも手軽に「自分オリジナル」のグラブになりますので、
購入の際は是非検討してみてください。
まとめ
本記事ではスラッガーについての情報をまとめましたが、
今回改めて調べてみて特に感じたのは下記の二点です。
- 使用者やモデル名にライオンズ関係者が多い
- 新品状態では調整が必要なケースがある
一点目は、辻モデル等ライオンズ関係者の使用が多いですが、
これは「使用している選手が多い→使う機会が多い→気に入って使いだす」という循環があるためと推測します。
それが正しいとすれば、プロが認め使いたくなるグラブとして、
スラッガーの品質やクオリティは高いものだと言うことができます。
二点目は注意点でもありますが、既製品は他メーカーと比較すると新品時のバラつきが大きく、ネット上ではそれを原因とする悪評が散見します。
これについては、根気良く自分に合わせていくか、
販売実績が多くあるショップで購入するのが良いと考えます。
ショップにノウハウがあれば、新品時の調整でカバーすることができますし、
上述した「湯もみ型付け」することで、
自分への合わせ込みをスムーズにすることができます。
いずれにしても、自分でできない場合は、
「ショップでの調整込み」で購入を検討しても良いと考えます。
スラッガーのグラブは「プロと同じ型」のモデルを使える点はメリットの一つであると思います。
道具からプロの技術に近づいていくというアプローチがあっても良いと考えますので、
気になった方は検討してみてください。
本記事がグラブ選びの参考となれば幸いです。
以上、プロも愛用するグローブ(グラブ)!評判の久保田スラッガーとは?…の話題でした。
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