野球の技術解説

『キャッチャーのスローイング技術』経験者に学ぶ基本早急フォームと盗塁阻止

こんにちは、橘裕司です。

今回は前回の「『キャッチャーのキャッチング技術』経験者に学ぶ基本捕球とフレーミング」の続編として、キャチャーのスローイング技術についてです。

三塁への盗塁は距離が近いのでキャッチャー有利かと思えばそうでもないという話など、新鮮な話満載で、キャッチャーではない私も目から鱗状態でした。(とても面白い内容です)

現役球児はぜひ参考にしてみてくださいね^^

1.キャッチャーのスローイングとは

前回の記事ではキャッチャーに求められる技術としての「キャッチング」について解説させて頂きましたが、本記事ではもう一つの重要な要素として「スローイング」について解説させて頂きます。

スローイングとはボールを投げること、つまり送球のことですが、キャッチャーのスローイングというと、どうしても「盗塁阻止のための送球」を考えてしまいがちです。

しかし、基本的に試合中のキャッチャーは、ピッチャーへの返球があるため、ピッチャーの次にボールを投げる回数が多いです。(別の話しになりますが、キャッチャーの肩肘の負担はピッチャーと比較し軽視され過ぎと感じます)

そのため、本記事は「ピッチャーへの返球」と「盗塁阻止のための送球」を分けて説明します。

まずはどちらにも共通する基本的な投球フォームについて説明します。

2.スローイングの基本フォーム

スローイングのフォームについて、腕の使い方で注目するポイントは、

「テイクバックを小さくすること」

「手首のスナップを利かすこと」

であると考えます。

◆テイクバックを小さく

テイクバックは、投球にあたり体の後方に腕を引く動きのことですが、これは「小さい方が」より有利です。

目的はより早く送球(リリース)するためです。

「速い球を投げたい」

という意識が強いと、ついテイクバックが大きくなりがちですが、テイクバックを大きくするとその分のタイムロスが発生します。

テイクバックでのロスを球速で取り戻すのは困難です。

下記表に球速別の本塁から二塁へのタイムをまとめたので参照ください。

球速(km/h)本塁~二塁間のタイム(s)
1500.89
1400.95
1301.02
1201.11
1101.21

※本塁~二塁間の距離は36.8808mにて算出

表を見て頂けると分かりますが、球速が10km/h速くなっても、本塁〜二塁間のタイムは約0.06〜0.10秒しか差がありません。

ですので、テイクバックでロスしたタイムを球速で取り戻すよりも、より早く送球することを意識した方が有益であると考えます。

◆手首のスナップ

上記で説明した通り、キャッチャーのスローイングは小さいテイクバックのフォームが求められます。

また、特にキャッチャーの二塁送球時には「低い送球」が求められます。

低い送球では、球に伸びが必要になりますので球の回転数が重要になります。

したがって、小さいテイクバックに合わせ、手首のスナップを利かせやすいフォームであることが大事です。

筆者の例でいうと、テイクバックのトップ時(最も後ろに腕を引いた状態)に手の甲を上に向けるイメージだと、投げやすく球に回転を与えやすかったです。

これは人それぞれのイメージにもよると考えますので、球の回転数と投げやすさのバランスをみつつ、トライ&エラーで自分にあう形を見つけることが良いと考えます

次項からは「ピッチャーへの返球」と「盗塁阻止の為の二塁送球」について説明します。

3.ピッチャーへの返球

ピッチャーへの返球はバッテリー以外気にすることは無いと思いますが、かなり重要なポイントです。

注目するポイントとしては、

「返球のタイミング」

「返球時の球速」

です。

ピッチャーに気持ちよく投げてもらうことや、自分のメッセージを伝える等、実は意味の有る部分でもあります。

また、味方だけでなく試合相手への影響もあり、これを考えられるキャッチャーこそ気遣いできるキャッチャーであると言えます。では各ポイントについて説明します。

◆返球のタイミング

返球のタイミングは早く返球した方が良い時とゆっくり返球した方が良い時があります。

早く返球した方が良い時は、テンポが早いピッチャーの場合やバッターに考える時間を与えたくない時や、ピッチャーの球が良く、続けて同じ球が欲しい時の返球は早めが良いと考えます。

ゆっくり返球した方が良い時は、ピッチャーが投げ急いでいて球の精度が悪い時です。

そういった際はゆとりを持たす為にゆっくり返球した方が良いです。

またピッチャーの好みもありますので、ピッチャーとすり合わせた方が良いポイントでもあります。

◆返球時の球速

これも返球のタイミングと同様ですが、ピッチャーの好みもあります。

特にピッチャーのイメージ通りの球速で返球されなかったり、返球のコントロールが定まらない場合、ピッチャーの投球の妨げとなります。

また、これも返球のタイミングと同じで、速い方が良い時とゆっくりの方が良い時があります。

基本的には返球のタイミングと同じです。

ただし速い球を返球することで、ピッチャーに激を飛ばすことができます。

これは滅多にすることはありませんが。。。

注意点はあまりにゆっくりした送球では、走者の進塁を許す可能性があるということです。

4.盗塁阻止のための二塁送球

二塁の送球能力もキャッチャーにとって重要な能力になります。

人間離れした肩が無い限りには、基本に忠実な動きが求められます。

基本にあたっては下記にて解説させて頂きます。

◆コントロール

高低としては、低い球であることが重要です。

盗塁時、二塁はタッチプレーとなるため、高い球だとタイミングはアウトでも、タッチが遅れセーフとなることがあります。

また二塁近くでのショートバウンドであれば、キャッチできる可能性も有りますが、高くに暴投した場合はキャッチもできません。

よって高めに暴投するよりも、低めに暴投した方がアウトの可能性が残ります。

左右でいうと、二塁ベース上の気持ち一塁側に投げるがベストです。

コントロールするコツは、自分なりの目標を設定することです。

例えば、マウンドに目標を設定することや、ピッチャーの頭を狙う等になります。

◆握り替え

握り替えはプロでも握り損ねたりミスが出やすいポイントです。

コツは捕球の際にミットのどの場所で捕っているかを意識しながら握り替えを実施したり、ミットの閉じ加減を色々試してみると良いと思います。

なお試合でも握り損ねることはあり得るため、練習から意識をし、握り損ねた状態でもワンバウンドで投げる等、ミスを想定した練習も必要になります。

◆スローイングに移行しやすいキャッチング

送球にあたり、キャッチングにも注意点があります。

スローイングは、腕をテイクバックする動きが起点となるため、利き腕の肩付近でキャッチングすることで、テイクバックへの移行が速くなります。

後述する足の運びを組み合わせて、スローイングに移行しやすい場所でのキャッチングも大事です。

◆足の運び方

二塁への送球にあたり、足の運びは大きく分けると

「前にステップする」

「右足を後ろに動かす」

「その場で踏ん張る」

の三通りになります。各足の運びにメリット/デメリットありますが、それよりもピッチャーの投球した球種・コース・打者の左右に合わせ状況判断で使い分けることが大事です。

言葉での説明は難しいため、下記の動画を紹介させて頂きます。

◆古田敦也(元ヤクルト)

古田選手の通算の盗塁阻止率は歴代トップの.462を誇ります。

歴代トップだけあり、学べるポイントが多々あります。

動画の1個目のプレーが「前にステップする」プレーで、動画の2個目のプレーが「右足を後ろに動かす」プレーになります。

1:00~のプレーが「その場で踏ん張る」プレーになります。

5.盗塁阻止のための三塁送球

三塁送球は一見、距離が短いことからキャッチャー有利に見えますが、一般的に二塁ランナーのリードは一塁ランナーよりも大きくなることから、一概にキャッチャー有利とは言えません。

なお二塁よりも距離が近いことから、球速の影響はより小さくなるため、速い球を投げるよりも正確な動きと三塁手がタッチしやすい位置へのコントロールが求められます。

以下に足の運びについて解説します。

◆足の運び方

二塁への送球は二通り紹介させて頂きましたが、三塁への送球は1パターン、三塁側への移動しか有りません。

またキャッチングについては、三塁側への移動に伴い、自然とキャッチャーの右側での捕球が多くなります。

そのため、テイクバックへの移行はスムーズになります。

番外編

◆座ったまま送球

メジャーのキャッチャーや国内でも一部の選手(元阪神の城島選手等)で見ることが出来るプレーになります。

肩がかなり強くないと難しいプレーであるうえに、下半身が使えないため肩肘の負担が大きいプレーでもあります。

オプションとして出来るようになっていても良いと思いますが、常用するプレーでは無いかと思います。

下記に動画を紹介しますので、出来る方はトライしてみてください。

◆城島健司(元阪神他)

城島選手の通算の盗塁阻止率は.383を誇ります。

強肩のイメージ通りの高い数字です。

動画を見て頂ければ分かりますが、座ったまま投げる時は、ピッチャーの投球が低く、片膝を着いて捕球した時が多いです。

まとめ

キャッチャーは経験したことが無い人には分からないことが多いため、未経験者の方にも分かるように説明したつもりですが、いかがでしょうか?

結局のところ、スローイングに関してのゴールは「良い送球」を「安定して実践すること」にあります。

そのため、正しいフォームが必ずしも上記2点のゴールを満足するとは限りません。

正しいフォームであっても、窮屈であったり投げにくいフォームであれば、「良い送球」を投げることが出来たとしても、再現性が伴わないことから「安定した実践」は困難です。

したがって、正しいフォームを知っておくことは、大事であり必要ですが、自分流のアレンジも同様に大事です。

また、どの動きにも共通するのは、何万回、何十万回と反復で練習することにより、スムーズさと精度が上がるということです。

筋肉に動きを覚え込ませる意味でも、動きの無駄を省く意味でも、反復の練習は重要です。

テーマを持った反復練習とトライ&エラーの果てに、実績と精度と安定性が得られます。

本記事が、キャッチャーのスローイングへの理解やヒントになると幸いです。


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