野球の技術解説

奥が深い!キャッチャーの「構え」の世界を社会人現役捕手が徹底解説

キャッチャー古田の構え

アイキャッチ引用:フルタの方程式

まずは始めに、キャッチャーの構えに、

「○○でなければだめだ」

といったルールや正解は存在しません。

しかし、

「〇〇した方が良い」

「〇〇に気を付けた方が良い」

といった「セオリー」が存在します。

本記事ではそういったセオリーを紹介しつつ、

「キャッチャーの構えの極意」について説明したいと思います。

何のための「構え」なのか

まずキャッチャーが構えるにあたっての「目的(目標)」ですが、

「ピッチャーの的」、

「キャッチングの準備」、

「送球へスムーズに移行するための準備」

が目的になるかと思います。

目的」があればそれを達成するための「手段」も明確になります。

キャッチャーに限らず野球をやっていれば様々なアクションを起こすことにより、

良い結果やミスに繋がりますが、

そういった際に「目的」がハッキリしていると良い結果であれば再現性が増しますし、

ミスであれば修正点が分かりやすくプレーの精度が向上します。

そのため、まずは目的を説明しました。

では、それぞれの目的について詳細を説明したいと思います。

「構え」の目的①:ピッチャーの的

いきなりですが、これが最も重要な目的であると私は思います。

ピッチャーの投げ易さに繋がり、ひいては信頼獲得にも繋がるためです。

「的」(まと)として機能するための手段を考えると、

「サイズ」、

「強調の有無」、

になるかと考えます。

サイズが大きければ的として標準を定めやすいですし、

後ろへの後逸も少なそうな感じ安心感もあります。

90年代より前は、

そういった理由で比較的体格の良い選手は自然とキャッチャーになる傾向がありました。

もちろん走力の有無等もありますが、体格を活かすという意味では間違いのない選択であると考えます。

しかし一方で、メジャーも経験している桑田真澄氏(元・読売ジャイアンツ他)は「メジャーのキャッチャーは大柄だから、

マスク・ミット・プロテクターで的が3つある」といった旨のコメントをしており、

「的」が大きいことが一概には良いとは言えない可能性を示しています。

なお構える際のミットは、なるべく開いていた方が良いです。

開いていることでピッチャーからはより大きく見えますし、後述する通りキャッチングにも良い影響があります。

強調については、ミットの捕球面側に「ターゲット」といわれる色違いの部分を設けることがあります。

キャッチャーミット(出展:https://shop.r10s.jp/yakyu-kasukawa/cabinet/53/brcpro-30212-53_3.jpg)

 

プロ野球選手でも多くの選手が設定しており、

代表的な例ですと矢野燿大(元・阪神タイガース)や里崎智也(元・千葉ロッテマリーンズ)がいます。

またプロテクターとミットの色が同色系だと分かりにくいため、色を分けることも効果的です。

ミットの色については、本サイト内のキャッチャーミットのオーダーについての記事に詳細がありますので、是非読んでみてください。

また、構えた際にミットを揺らしたり、ミットの小指側をグランドに当てて「低く来い」のジェスチャーを見ることがありますが、

これもピッチャーにキャッチャーの気持ちや意図を伝えるため「強調」になります。バッテリー間の意思統一は重要なので旨く活用すると良いと考えます。

ピッチャーの的」として目的を果たすための注意点は、

1点目が「ピッチャーが気持ちよく投げられているか」を考え、自分本位にならないことです。

前述したメジャーのキャッチャーの例もありますが、サイズを大きく見せれば良いだけではなため、ピッチャーとコミュニケーションを捕り、最適な構えを考えて見ると良いと思います。

2点目が「意図しない強調はしない」です。

例えばいつもと違う構えをした時、ピッチャーが必要以上に気にすることがあります。

また、意図的に強調したい場面でもその効果が薄れます。

「今自分がどのようにピッチャーの目に映っているか」

を考え自然かつ同じ動作をするように心がけることが大事です。

「構え」の目的②:キャッチングの準備(座り方・座る位置・膝をついたブロッキングへの移行)

キャッチングには非常に多くのことが求められるため「準備無くして良いキャッチングは無い」といっても過言ではありません。

例えば、キャッチングの基本は「ミットの良い捕球音が鳴る場所で捕る」というのがありますが、

例えばミットを胸の前に引き上げている状態と、下に垂らしている状態では、顔の前にきたボールをどちらが良い捕球音で捕りやすいか考えたとき、

胸の前にミットが合った方がミットの移動量が少なく余裕があるため捕りやすいと私は考えます。

そのため当たり前ではありますが、常に胸の前に有る必要は無いものの、自分が捕りやすい範囲でミットは上げておいた方が良いです。

また捕球音のことを考えた時、捕球時にミットの親指芯や小指側芯にボールがあたると捕球音を損なうことから、

ミットはなるべく開いておいた方が良いです。

プロ野球ではそんなに開いていないように見えることがありますが、それは卓越した捕球技術で芯に当てずに捕球できるからです。

自信があったり、その方がやりやすい方は、閉じ気味の構えでも良いと考えます。

近年はキャッチャーのキャッチングについて「フレーミング」の能力も問われることがありますが、

これは色々と方法がありますが共通しているのは「脱力できているかどうか」です。

ピッチャーが投げたボールに対し力で対抗すると球の勢いに負け、ミットが流れる可能性が高くなります。

ミットが流れることを防ぐには、ボールの外側(内側)から若干反動をつけて捕ることや、

手首を返して勢いを吸収するなどありますが、脱力は重要な要素です。プロアマ問わず野球を見ていると、

キャッチャーが構えたミットを一度下げる動作をすることがありますが、あれは脱力が目的になります。

ただし「ミットの捕球面は常にピッチャーに見えるように」という考え方もあるため、ミットを下げないことが不正解というわけではありません。

また「ブロッキング」も重要な要素です。

ブロッキングは基本的に膝をグラウンドにつけるため、そのフォームにスムーズに移行できる構えであることが大事です。

例えば片膝を付いた構えがありますが、ブロッキング時に左右方向の移動は弱い傾向があります。

しかし人それぞれの体格や筋肉量、柔軟性に依存する部分でもありますので、自分なりの構えで良いと考えますし、

投手や使いたい球種(低めのボール球等)等の状況で使い分けるのも良いと考えます。

キャッチングについては本サイトでもまとめた記事がありますので是非読んでみてください。

「構え」の目的③:送球へスムーズに移行するための準備(右手の状態への気配り)

ここで言う「送球」とは、盗塁阻止のための送球や累上のランナーへの牽制を指します。

まず目的を達成するために最も大事な手段は「心の準備」です。

例えば、

「ランナーが走ってくるかもしれない」

「次のボールでもリードが大きかったら投げよう」

といったことが「心の準備」に該当するわけですが、

考慮せずに対応することが難しいことは想像できると思います。

逆に攻撃側であれば「心の準備」をさせないことが、「意表をつく」であるとか「流れに乗じる」ことに繋がるわけですが、それは別の話になります。

いずれにしても、キャッチャーは現状を把握し、あり得るシチュエーションを網羅し、「心の準備」を構えている段階では終えていることが理想です。

他にはフットワークをしやすくするため、身体を半身にすることも構えにおける手段になります。

また半身にすることはフットワークのしやすさだけでなく、身体の利き腕側で捕球しやすくなることから、

捕球からのテイクバックが取りやすい利点もあります。

また右手の状態にも気配りが必要です。

例えば、埃や汗で滑りやすくなっていないかがそれに該当します。

ひどい場合はリストバンドやロージンバックやグラウンドの土、タオルを用意するなどの対策が必要だと考えます。

なお筆者は構えながらお尻で拭いていましたが、後から考えると格好良くはなかったと思います。

なお注意点が2点有ります。

1点目が普段と違う構えとなることです。

まず有り得ませんが、今まで正面を向いているキャッチャーが突然半身になったりしたら驚くと思います。

少々大げさですが、プルペンでの練習時等にもたまに半身に構えてみるとより実践的な練習になると考えます。

2点目は送球を強く意識するあまり、利き腕側の手をミット近くにおいてしまうことです。

特に少年野球に多いですが、これはファウルチップや暴投時の怪我に繋がるため、

ウェストボール等のバッターが振らない可能性が高い場合や暴投のリスクが少ない場合を除き絶対にNGです。

スローイングについては本サイトでもまとめた記事がありますので是非読んでみてください。

まとめ

全部を網羅できているかは分かりませんが、キャッチャーの構え一つ取っても奥が深いことは理解してもらえるかと思います。

なお冒頭でも説明しましたが、キャッチャーの構えに正解はありません。

本記事では、「セオリー」や「気にした方が良い点」について説明しましたが、

自分やバッテリー間のやりやすさを優先した方が良いこともあるので、自分なり目的や考えを持って構えを作ってもらえればと思います。

本記事がそのヒントの一つになると幸いです。


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