「イップス」
「Yips」
それは長い長い試練の始まりです。イップスは技術的な問題ではなく、人間の本能的な問題です。
この記事を見ているあなたはまさに「イップス」に悩んでいる方だと想像します。
そんなあなたがイップスを一日も早く克服できるよう、
「イップスとはどのような症状なのか?」
「今イップスに悩まされているのだが、克服するにはどうすれば良いか?」
という方向けに記事を書いていきたいと思います。
- イップスは「想像力が強く」「真面目」=責任感の強い人が発症しやすい。
- 発症したイップスの状態は「生き物の本能」に従ったものであり、ライオンに襲われたような状況と似ている。
- 克服には早期にチームメートや指導者への告白が大切
- チームメートの協力を得て、プロ野球選手が克服した方法を参考に自分に合うものを見つけ治療に専念すれば早期に克服できるはず。
Contents
イップスの症状・原因は?イップスの深層とは?

「イップス」という言葉は既に野球を皮切りに、ゴルフプレイヤーの間でも有名な言葉になってしまっていますよね。
この症状を一言で表すのであれば、
「選手の抱える不安、緊張により動作の際に体(筋肉)が硬直してしまいパフォーマンスを十分に発揮できない状態」
のことを言います。
まだわかりにくいですね。もっと端的にまとめますと、
「思い通りに体が動かなくなる」
ことです。
イップスは個人差があり、軽度の選手は時間が経てば精神面が安定した際に自然に治ることも多いですが、重度のイップスを患った選手は長期間に亘り改善しません。
最悪なケースでは毎回の動作の際に肉体の震えや痛みを感じてしまうなどがあります。
以下は「イップス研究所」で定義されている「イップス」です。
イップス(イップス症状)は心の葛藤(意識、無意識)により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼす心理的症状です。
スポーツ(ゴルフ、野球、卓球、テニス、サッカー、ダーツ等)の集中すべき場面で、プレッシャーにより極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思 い通りのパフォーマンスを発揮できない症状をいいます。
また、普段と同じプレーが出来ず、ミスを誘発することもあります。
引用:イップス研究所
1) イップスの主な症状、代表例とは?
イップスの症状の代表例をみてみましょう。
「投球」と「その他の動作」に分けています。(スマホの方は横にスライドしてください)
【投球】 | 【その他の動作】 |
キャッチャーがピッチャーに返球できない。 | 野手がボールが飛んできても反応できなくなる |
ピッチャーがバント処理の際に比較的近い一塁に暴投してしまう。死球を投げてしまう。 | 野手が簡単なゴロ・フライが全く捕れない |
遊撃手・二塁手がダブルプレイの際に二塁に投げれない。 | スイングがうまくできない |
牽制球で暴投してしまう。 | 特定の人へボールが投げれない |
外野手が内野手の中継まで投げれない。 | 周りの視線が集中すると動作ができない |
2) イップスの原因とは?
イップスという病の原因は、ひとえに「生き物の本能」に従った結果と言われています。
動作の際に、大袈裟に言えば生命の危険を無意識の内に感じ取り、スムーズに動作が取れなくなる、というのが根本の原因であるようです。
例えば高校野球の場合は、特に名門校だと監督が厳しく、また試合も注目されるので日々選手にはプレッシャーが強く与えられています。
それだけ追い込まれた状況でプレイしているのです。
私も高校時代は監督が怖くてキャッチボールさえ監督に見られている状況では震え上がっていました。
結果、選手の中ではかなり本能が生命の危険を感じ、体が固まってしまう状況になってしまということです。
例えばライオンに襲われた際、あなたは(とうか多くの人が)硬直してしまいますよね?ドラマやアニメで良く描写されるあの風景です。
この体が硬直してしまう状態を野球の練習や試合で発生させてしまうのが「イップス」ということでしょう。
ここに恐れていた体の硬直が試合の最中に起こってしまうと、周りの落胆する表情や自責の念などを脳がインプットしてしまい、その記憶が強烈に残り、症状が長引いてしまうということです。
3) イップスの前兆とは?
イップスは「突然発症した」と言う人は多くいますが、基本的には前兆があります。
例えば守備のポジションをコンバートをされたことで、自信が持てず、精神的に不安定になったり、キャプテンや主力選手に任命され、プレッシャーのあまり本来の実力が出せなくなり、次第に体がこわばるようになったなどがあります。
このような精神面からくるのがイップスであり、怪我などとは全く別物です。
日本の、例えば名門高校にいる選手はかなりプレッシャーがかかる場面って多いですよね。
そもそもそのような高校の選手はレギュラー争いが熾烈であり、練習中からミスをしたらレギュラーを外される、監督やコーチから怒られるなどプレッシャーがかかる場面は多々あります。
僕も高校時代に短い距離でのキャッチボールで一度暴投し、監督に、
と怒られ、さらにその後も僕がちゃんとキャッチボールをしているのか監督はずっと見ている、と言うすごいプレッシャーを与えられたことがあります。
この時に少し体がこわばっているのを感じた経験があります。
これ、私はイップスを克服した経験がありましたから大丈夫でしたが、普通の選手にしていたらイップスを発症させてしまっていた可能性のある指導になってしまいますからね。
このようなどこでもありそうな指導者の言葉で、多くの野球部員たちがイップスを発症させてしまっていることは容易に想像できます。
4) 実例:私のイップス発症経験
私自身、イップスは中学2年生で発症し、克服するのに半年掛かりました。
ショートを守っていましたがダブルプレーを取る時にセカンドベースにボールを投げれなくなったのです。
上記の例、
「遊撃手・二塁手がダブルプレイの際に二塁に投げれない」
に当て嵌まりますね。
ショートから一塁への送球は力いっぱい投げることが多いので問題がありませんでした。
しかし、加減して投げる必要があるダブルプレーなどは暴投のオンパレードで、監督が変な気を遣い僕をセカンドにコンバートしてしまいました。
その結果、ファーストにも暴投を繰り返すようになり重症に陥り、その後僕は外野手にコンバートされました。
これは今から17,8年ほど前になりますが当時はイップスなんて言葉もなかったし野球業界でもあまり有名な病気と認識されていませんでした。
少し話が変わりますが、ある日、日大三高の甲子園での試合を見ていました。
原島選手擁する日大三高・最強打線のセカンドで有りリードオフマン、都築選手がセカンドを守っていました。
その年の甲子園決勝、最後にセカンドゴロが飛んだ(2:39~)。キャッチしてファーストへ。試合終了。
この時、都築選手は「フワッ」とした球をファーストに投げました。
ここで都築選手も僕と同じ病気を持っていると確信しました。
当時のチームメートのキャッチャーもある日ピッチャーにボールを返球する際にフワッとしたボールを投げるようになりました。
彼は軽度で、高校に進学と同時に完治しました。これはかなり幸運な例です。
その他にも僕の高校野球部のOBの先輩が僕たちの中学のチームに訪問してきました。
野球を辞めたとの報告をするための訪問でした。先輩は高校一年生から県内では有名な投手でしたのでかなり驚きでしたが、その際に先輩が言った一言があまりにも衝撃でした。
全国には私と同じように悩んでる人がいるはずだとこの時強く認識したのを覚えています。
イップスを発症させていた私は悩みに悩み、練習でのキャッチボールが怖くなり、次第に野球を辞めたくなっていました。
でも、遠い距離からなら誰にも負けない強い球が投げれるのに、近い距離が投げれない、それだけで自分に負けたくないという気持ちで練習に参加していましたが、結局一人では打開策は見つからず、チームメイトの協力が必要だと考え始めたのがこの頃です。
次の日から、いつものキャッチボール相手の選手に、正直に、
と告白し全体練習の後にイップス克服を手伝ってもらいました。
結果、半年で僕の場合はほぼ完治しました。実は高校時代も一度発症しましたが、同じ方法で1週間で治せました。
治療法には個人差が有りますが、その方法は後ほど具体的に説明します。
このチームの皆に告白するというのは実はとても勇気のいることでした。
打ち明けるのに1ヶ月は悩んでいましたね。あなたも同様の状況であれば、まずは告白した方が良いです。
それか仲の良い部員にまずは打ち明けてみるとか。それだけで精神がかなりましになりますし、大体のチームメートは克服に協力してくれるものです。
イップスが野球だけではなくバレー、サッカー、バスケ、ゴルフ、テニスでも発症する選手がいる

イップスは野球選手であれば野球だけの問題と捉えがちですが、実は他のスポーツ競技にもイップスを発症させてしまっている人は多くいます。
特に、プレッシャーの掛かる場面が多い有名選手ほどイップスの症状はついてまわることが多いようです。
例えば、以下記事の宮里藍選手もゴルフプレイヤーですが、パターを決められないというイップスにかかっていたそうです。
今季限りでの現役引退を表明したプロゴルファーの宮里藍も5月の記者会見でパターのイップスに苦しんだことを打ち明けた。
参考:宮里藍も悩んだイップスって何? ストレス社会のアスリートを苦しめる心と体のサイン
NBAの選手のフリースローを決められない原因をイップスであるという記事も有ります。
どうしてビッグマンはフリースローを決められないのか
というテーマの記事をESPNのトム・ハーバーストロウ記者が書いている。タイトルと画像をざっと見た時は完全に物理学的・技術的な話だと思ったのですが、
タイトルと画像をざっと見た時は完全に物理学的・技術的な話だと思ったのですが、全然違いました。要はこれ、心理的な問題、いわゆるイップスなんですよ、これはたくさん練習したからといって解決できないんですよ、という話。面白いけど長いので、要点だけ意訳して箇条書してみよう。
参考サイト:だいたいNBA
あのサッカーの香川真司選手も、シュートを打つ際に「枠を外すか、キーパーの正面にしか蹴れない」ということでイップスの疑惑が出るほどでした。
「シュートを打つ際、イップスにかかっているとウワサされています。最近の香川のシュートは、枠を外すか、キーパーの真正面に飛ぶものが異常に多い。コースを狙って枠に行った記憶がまったくありません。
久しぶりにゴールを決めたアジアカップのヨルダン戦も、至近距離で真正面に蹴り込み、キーパーが反応しきれずに入ったものでした。調子の良かったころの香川は、コンパクトな振りと、コースを突いたシュートでゴールを量産していたので、重さの程度はわかりませんが、イップスと見て間違いないと思います」(スポーツライター)
参考サイト:香川真司のシュートは正面にしか飛ばない? 日本のエースにイップス疑惑浮上!
そういえば宇宙兄弟の日々人もパニック障害になっていましたがこれもイップスの一種だと思っても良いかもしれません。

『なあ ムッちゃん もしかしたら… 俺はもう月に行けないかも』
『俺の中からパニック障害が消えても… 周囲の頭ん中からは消えないんだ』
イップスの経験のある有名選手は?投手で悩む人多数・あのメジャーで活躍したイチロー選手も?

イップスは何もあなただけを苦しめる病ではありません。
数多くのプロ選手、アスリートを襲ってきました。
ここでイップスで苦しんだ経験がある選手を挙げてみましょう。
1) 投手
糸井 嘉男元投手(阪神タイガース)
「投げ方が急にわからなくなった」
という状態になり、投手を諦め野手にコンバート。
元々鉄人であったため、野手でも今は大成功を収めていますが、当時は辛かったものだと思います。
今では強肩外野手として宇宙人と呼ばれていますが、宇宙人でも悩みほどの病ということですね。
「最初の方にすごい球を投げてたんですって。ただ、ある日フォアボールが連発するようになって、セットから投げようとした時に、なかなか動かなかったらしい」と説明した杉谷。その時、コーチが糸井のもとに行くと、動けなくなった糸井はなんと「どこから動かしていいか分からなくなりました」(杉谷談)と話したという。
すると野球ファンのトータルテンボス・藤田憲右も続く。「(糸井が)ピッチング練習してたら、岩本(勉)選手が裏で見てて“お前ノーコンだな”ってずっと言ってて。糸井は黙々と投げてた。(それでも岩本が)“お前すげぇノーコンだな”って言ったら、糸井が“え、これ黒ですよ”って言ってアンダーシャツを(指した)」と、糸井の天然ぶりが分かるエピソードを紹介。これには村上も「そんな人がイップスになる」と驚くしかなかった。
藤浪 晋太郎投手(阪神タイガース)
上記の例からいくと、打者に死球を与えてしまうタイプのイップスです。
プロ野球選手はイップスを自分で乗り越えなければならないので、本当に自分との戦いです。
この後デッドボールを受けた広島・大瀬良投手は監督に怒られたそうですが、イップスの苦しさを理解していることからの気遣いだったのでしょう。
岩本 勉投手(元日本ハムファイターズ)
あのハート強そうな岩ちゃんでもイップスになっちゃうのかよ・・・という感じですね。
以下の動画ではかなり良いことを言っていて、プロ野球選手はイップスは宿命なんだと。
それを越えていける選手が一流ということですね。
参考:【イップスの深層】 先輩の舌打ちから始まった、 ガンちゃんの制御不能
北方 悠誠投手(元横浜DeNA)
北方選手はイップスを克服し、横浜DeNA戦力外通告後、独立リーグ→四国アイランドリーグで2017年までプレーしました。
印象的な記事が有りますね。
参考:プロ野球トライアウト外伝。 「イップス地獄」から這い上がった男たち
2) 野手
野手組は、現役でバリバリ活躍している選手も多数です。
それだけプレッシャーと戦っているということの裏返しでも有ります。
イチロー選手
世界のイチローもイップスに苦しんだ時期があったそうです。高校生の時からプロまで引きずっていたようですね。
治した方法はセンスだそうです。参考までに教えてくれれば良いのにと思いました。(笑)
桂依 央利捕手(中日)
シーズン当初から2軍で捕手として出場した桂だったが、明らかに様子がおかしかった。2塁への送球どころか、投手への返球すらままならなかったのだ。
桂からのボールは右へ、左へ、はたまた投手の頭上を越えていった。敵ファンからは心ないヤジが飛んだ。
これは、まさにイップスの症状そのものである。
イップスとは精神的な原因による運動障害のこと。当たり前にできていたことが、できなくなる症状だ。
悪いことは重なるもので、6月には2塁への送球がマウンド上にいた伊藤準規投手の右側頭部を直撃。
伊藤は血を流しながら退場した。桂はもうダメなんじゃないか――。
そう思ったファンも少なくなかったのはないだろうか。結局、桂の14年の一軍公式試合出場はゼロに終わっている。プロの壁はめちゃくちゃ厚かったのだ。
しかし、桂は苦難を乗り越えた。
参考:イップスを乗り越えて――谷繁監督も絶賛した桂の〝復肩〟
内川 聖一外野手(元内野手、ソフトバンク)
「僕が入団したころの横浜は’98年に日本一になったメンバーの方が残っていた。高卒1年目の選手が大先輩の前で、自分を表現することはできなかった。縮こまっていましたね」 プロ3年目にはイップスになった。
セカンドからファーストへ、短い距離の送球ができない。そんな時、出会ったのが臨床心理士の武野顕吾氏だった。キッカケはイップスだったが、内川はもっと大事なものを手に入れた。
「考え方というか、ものごとの捉え方が変わりましたね。武野さんと出会って、物事をいろんな角度から見られるようになった。一つの見方しかできないと、上手くいかないものはずっと上手くいかない。アプローチ法が一つしかないんだから、当然ですよね? それを右から、あるいは裏から見れば、自分の成長に繋がる見方があるかもしれない。そう考えられるようになった」
参考:感動読み物 有名スポーツ選手 人生最大の「失敗」からどう立ち直ったのか 内川聖一
その他にも松井稼頭央内野手(楽天)、荒木 雅博内野手(中日)、田口壮選手(元オリックスバファローズ)など。
でも、これだけ偉大な選手達がイップスを発症しながらも克服して今も最前線で活躍していると考えると、なんだか勇気が湧いてきませんか?
イップスの引退を余儀なくされてしまった有名野球選手

森岡選手(ヤクルト)
目の前の光景を見ると信じ難かったが、森岡が引退を決断した理由の一つが「イップス」だった。
打撃に試行錯誤してファーム暮らしが続いた8月下旬。突然、キャッチボールができなくなった。
「どう投げていいのか分からなくなった。精神的なものかな。うーん…本当の原因は今も分からないです」。
9月中旬のイースタン・リーグの試合では一塁の守備で、二塁手の何でもない送球をはじいた。「草野球レベル。情けなかった。これではチームに貢献できない」。現役を終える決意を固めた。
個人的に森岡選手はかなり好きな選手の一人だったので、この報道はとても悲しいものでした。
しかし、イップスを発症して苦労していたことが目に見えます。
こんなに才能がある選手に引退を決断させてしまう病の恐怖を感じます。あまりにも惜しい・・・。
田中英祐投手(元ロッテ)
田中投手は正確には戦力外ですが、イップスにはかなり苦しまれていたようです。
田中選手には別のキャリアでも頑張って欲しい・・・。
入団当初は「京大君」と呼ばれ、一挙手一投足を追われた。「騒がれて入って。1軍でデビューできて。人がいっぱいで、うれしかった」。だが、デビュー戦が唯一の先発となった。「そこからはしんどいことの方が多かった」。投げ方が分からなくなった。ブルペンでは天井にぶつけ、地面にたたきつけた。150キロ近い球速は、120キロまで落ちた。1年目の9月を最後に9カ月以上、実戦を離れた。イップスを疑い、自分で見つけたメンタルトレーナーにも通った。
イップスはお笑い芸人でも発症する・どの仕事も共通
イップスの症状はスポーツ界にとどまりません。
例えばお笑い芸人のブルゾンちえみさんもR1でネタを飛ばしてしまったりしています。
ブルゾンちえみ(27)が、2月28日に行われたピン芸人日本一決定戦「R-1ぐらんぷり2017」決勝のファーストステージで、ネタ中にセリフが飛んでしまうアクシデントで敗退し、イップス状態になっていたと明かした。
しかし、そのあとちゃんと軌道修正して今は元気にネタをやっています。本当に良かった。
その度胸がついた理由について聞かれると「R-1の後、しばらくネタが飛ぶ癖が付いていた。やるしかなくて、だんだん治っていった」という。
実際、このように大勢の人の前で話などをする時に、話の内容が頭の中から飛んでしまうという人は多いですよね。
僕の会社でもプレゼンテーションをする際に、話の内容が記憶から飛んでしまうという人は多々見てきました。
イップスの症状は、スポーツ業界だけにとどまりません。
イップスを発症しやすい人の特徴

イップスに陥ってしまう人というのは僕の見てきた人たちの特徴から言うと、
- 想像力が強い
- 真面目
な人です。
想像力が強いと言うのは良いことでもあるんですが、反対に悪い記憶をなかなか自分の中から消せません。
悪いことが起きた時の切り替え(心の奥底の)ができず、いざパフォーマンスを発揮しようとした時に頭の中でフラッシュバックしてしまいます。
真面目な人がイップスに陥りやすいというのもかなり皮肉なのですが、これは間違いないと思います。
責任感が強く、失敗した時に自責の念に強く駆られる人間はそれだけプレッシャーを強く抱えている訳ですから、イップスが発症しやすくなるのも仕方のないことだと思います。
性格の部分は簡単に変えられるものではないのでイップスが発症したら克服するしかないですが、もしあなたが指導者などの立場であれば、その点を考慮して選手達の指導をしてあげることが重要でしょう。
送球イップスの診断方法及び治療法・治療法動画も紹介

では、ここでようやくですが、イップスの治療方法について書いていきます。
まず最初に断っておきたいのが、イップスの症状は個人の本能、そして精神からくる病なので、この「方法が絶対正解」という治療法はありません。100通りの克服法があるのであれば100通り試すのが近道なのです。
まずは僕がイップスを克服した方法を全て書きますが、試してみてそれでも改善が見られないようであれば現在は色んなイップスに関する専門家やドクターがいるので、積極的に相談・診断することが大切です。
僕の治療法ですが、まずはチームの指導者及びチームメートに自分はイップスであるということを打ち明けてください。
イップスの症状が悪化するのは間違いなく「自分はイップスではない」と認めず、失敗し重度のイップスに陥ってしまうというものです。
ですので、周りの理解を得て、「自分が開き直って投げることができる」環境作りから始めてください。
僕が当時中学生の頃はイップスはそこまで騒がれていなかったので言い出しにくい環境でしたが、今では認知度も高く、打ち明けて嫌な顔をする指導者やチームメートはいないはずです。
反対に誰かがイップスに陥っているようでしたら、失敗をしても問題ない環境作りをしてあげてください。
では参ります。
1) 塁間より短い距離で暴投をとにかく投げ続ける。
チームメートが手伝ってくれる前提の克服法です。僕の症状では近距離で暴投を繰り返してしまう症状でしたので、塁間の送球を改善することから始めました。
- 1番微妙な加減が必要な距離は、塁間距離約27.431mの半分の距離、約13mでキャッチボールする。
- そして暴投を繰り返す。
- 腕や手首が縮こまるが、そうならないように強い球を投げる時と同じように投げる、そして暴投する。
- 最初はどうしても腕が縮こまってしまい、ボールを置きにいってしまうが、全身をリラックスして自然体で投げる。
- 大体が指に引っかかり暴投になってしまうがそれで問題なし。
- 何度も暴投していると、次第に昔加減して投げていた頃の感覚を思い出すことができる。
- 暴投を投げて、思い出す。これを何十回も何百回も繰り返す。
- 因みにこれは壁を相手にしていては意味がなく、暴投を多少怖がる状況で人を相手にする必要がある。(プレッシャーに慣れる)
- 指先で硬直せずに投げられている感覚を掴めてきたら今度はキャッチボールの相手側の位置を、背後に逸らしたら取りに行くのが面倒なポジションに移す。
- 例えば外野でキャッチボールをしているならフェンス側に自分、相手をフィールド側。
- これで「暴投したら相手に多大な迷惑がかかる」状況を作りプレッシャーをかける。
- そして、感覚を覚えたところでキャッチボール相手を他の人に替える。
- 覚えた感覚を基にキャッチボールを続ける。
- 私の場合は感覚を覚えてからは5人くらい相手を1日ごとに替えてました。
2) 投げ方をいろいろ変えてみる。
投げ方を変えると私は効果てきめんでした。意外と横から投げるとちゃんと投げていた感覚が蘇ってきますよ。
- 意外と横から投げて見たりすると体が硬直せずに感覚が残っている場合がある。
- 上投げの人はサイドスローやアンダースローを混ぜてみるなど。
- 極端にいうと、ふざけて投げても良い。
- 僕の場合はアンダースローで投げる時はイップスが不思議なことに全くなかった。
- アンダースローで加減を覚えつつ、サイドスロー、オーバースローと順に感覚を思い出していった。
- 13mほどの距離であればサイドスローでもいいのでサイドまでの感覚を覚えれば克服したに近い。
これは元中日ドラゴンズの井端選手もイップス対策として実施していたとのことです、以下が同選手のコメントです。
「長いシーズンのなかで、いつもと同じように投げているつもりでも送球が乱れて、イップス気味になることがあるんです」
井端ほどの守備名人でも、時には送球に不安を覚えることがあったのだという。そんな時、井端は腕の振りをサイドぎみに変えるなどして対処していた。そして再び感覚が戻ったと感じられたら、もとの投げ方に直していたのだ。
そのため、日頃からキャッチボールでは常に同じ腕の振りで投げるのではなく、さまざまな軌道から投げる訓練をしていたという。こうした人知れず努力を積み重ねた結果、井端の名人芸は築き上げられたのだ。
3) 瞑想で投げれる自分を毎日イメージ
これは当時、父が持っていたビジネス書に、「思考はコントロールできる」という内容のものがありそれを取り入れました。
- 1日に15分程、加減が必要な距離で難なくボールを投げている自分を想像。
- 自分の思考からネガティヴな気持ちを”無理やり”抜いていった。
その本はAmazonでは現時点では販売されていなかったのですが、今で有名なナポレオンヒルの「思考は現実化する」とほぼ同様の内容でした。
当時はかなり信用していなかったが、藁をも掴むくらい必死でしたので言われたことを全て取り入れていました。
参考にするのは以下の2冊のどちらかで良いでしょう。
毎日「普通に」プレーしてる自分を想像し、「早くキャッチボールがしたい」「早く野球がしたい」と心の中で呟き続け、ポジティブな思考に戻していきました。
正直効果は数値化できるものでもなくわかりませんでしたが、日常生活にまでイップスのストレスを抱えていた僕にとっては唯一リラックスできる時間となり重宝していました。現代でいえばメンタルトレーニングの部類ですね。
イップスは一度ハマると地獄ですが、克服方法がわかれば恐怖は格段になくなり、再発症し難くなります。
最後に〜イップスは恥ずかしいことじゃない〜
最後に、イップスは恥ずかしいことではありません。
プロ選手にもイップスを抱えている人は本当にたくさんいます。
私自身も、イップス時代は落ち込んでいましたが、周りに自分がイップスであることを打ち明けて、
徐々に克服していきました。
イップスは野球選手の宿命とも言えるのです。
イチロー選手でさえイップスになりましたし、
以下はゴールデングラブ賞をとった赤星選手でさえイップスになるものなのです。
(以下の画像は野球Youtuberの方の動画を参考にさせていただいています)






自身で受け入れ、周りにも受け入れてもらいましょう。
一人で悩むとイップスは悪化します。
他にも、Youtubeでも発信している人がいるので参考にしてみると良いかもしれませんね。自分に合う方法で治していきましょう。(地面に叩きつける方法は効果ありそう)
全国のイップス患者が、症状を克服し元気一杯野球ができますように。